第305話 そういう人 ページ34
「ねえ一之瀬くん！手術ってなに！？この大会で優勝して、プロのユースになるって言ってたじゃない！！」
「……」
「──嘘なんだ」
一之瀬に詰め寄る秋。
黙り込む一之瀬を見て、土門が代わりに続けた。
「プロリーグのユースに誘われたのは本当だ。でも、ユースには入れない」
「どういうこと……？」
──土門は、私にした話とそっくり同じ話を、秋に聞かせた。
その言葉が進むにつれ、秋の表情が強張っていく。
「そんな……どうして言ってくれなかったの……？」
「……これが最後の試合になるかも知れないんだ」
「！！」
重い沈黙が流れた時、聞こえて来る実況の声。
もう行かなくてはならない。歩き出した一之瀬を、秋が泣きそうな声で呼び止めた。
「一之瀬くんっ！！」
「……秋。円堂には言わないでほしい」
立ち止まって、一之瀬は答える。
後ろを向いたまま、顔を見せずに。
「本気の勝負がしたいんだ。……円堂と」
そのままフィールドへ向かって行ってしまう一之瀬。
土門も後に続いて行ってしまい、その場には私と秋だけが残された。
『……行こう』
「A……」
秋の手を引く。振り返りもせずに言った。
『私は、全力で戦うわ。一之瀬と……一之瀬の覚悟と』
「……うん」
一之瀬は、あの雨の日、秋に会いに行った。
あんなの、一人で抱え切れるものじゃない。だから、秋に話しに行った。
けれど、言えなかったのね。
一之瀬一哉は、そういう人なのね。
「A、何処に行ってたんだ。すぐにウォーミングアップをしろ」
『ええ。ごめんなさい……ちょっとね』
有人に返しながら、準備運動を始める。
……頭の中をよぎる、一之瀬と土門の言葉。
──俺は、お前の命の方が大事だ。
──俺にとってこれが、最後の戦いになるかも知れない。
──円堂達には黙っていて欲しい。
──あいつらと、全力で試合するために。
第306話 アメリカ代表ユニコーン→←第304話 一之瀬の覚悟
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杳覇(プロフ) - 蒼乃さん» うわあああまただ！！ごめん！！すぐ書き直してきます！！ (2020年3月15日 18時) (
レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 鈴苺 （ﾚｲﾒｲ）さん» 本当にありがとうございます(泣)よろしくお願いします！！ (2020年3月15日 18時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃(プロフ) - 311話の「一之瀬とビリーいとも簡単に」って、「一之瀬とビリーをいとも簡単に」じゃないかな？間違ってたり、わざとそうしてたんだったらごめん！！ (2020年3月15日 18時) (レス) id: c9e288890e (このIDを非表示/違反報告)
鈴苺 （ﾚｲﾒｲ）(プロフ) - いえいえ、全然大丈夫です！下手ですが、描かせていただきます！！ありがとうございます！！ (2020年3月13日 18時) (レス) id: 8922abe964 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 蒼乃さん» 良かったぁ〜、不動さんのイケメンさはこだわったもので……！！モヒカンのくせに(笑) うわああああごめん！！ありがとう！！すぐ直します！助かった！！ (2020年3月9日 15時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杳覇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Detectivec2/
作成日時：2020年2月16日 19時
