電伝虫少女の海賊生活

砲撃阻止 ページ43

「いくわよ！“サイクロン＝テンポ”！！」

ナミさんの謎の台詞の後に

「ォォォオオオオオオオオオウ」

ウソップさんの何とも言えない叫び声が聞こえる。

後ろで何が起きてるのかは見えないが、
皆んなが何か色々話しつつもビビさんの声の位置が
どんどん上の方に行っている事だけは分かる。

––––パァン！！

「「ゾロ！！」」

その後すぐに発砲音が聞こえて、
ナミさんとウソップさんの悲鳴が聞こえ

––––ドゴォン！！

何かが落ちてきたような音が聞こえてる。



きっとこの間は、ほんの数秒しかなかったのに
随分と長く感じられた。

「みっ、皆んなァ〜！！」

何故か人混みの方からチョッパーさんが走ってきて
こちらに合流する。

「どうなったんだ？砲撃は阻止できたのか？」

もう砲撃時刻は過ぎた。

広場がまだ残っていて私達も無事という事は
砲撃阻止に成功したはず––––なのだが、

「おかしいわね。ビビが顔を見せないわ」

もう見張りは大丈夫そうかなと
時計台の方に向き直れば、

上にいたはずのゾロさんもサンジさんも普通に下にいて、皆んなで時計台を不思議そうに見上げている。

あと、さっきまで時計台の上にいた貴族とカエルが
地面にめり込んでいた。

あんな高さらが落ちたら死にそうだが、
一応呼吸をしてるので生きてるらしい。



私も時計台を見上げ、
ズーム機能を使って注視してみると
ビビさんが顔を覗かせる。

「あ！ビビさん！！」

無事で良かったと安心したのも束の間、
その表情は砲撃を阻止した後とは思えない程に動揺していた。

「大変皆んな！！砲弾が“時限式”なの！！
このままだと爆発しちゃう！！！」

「「「「「「何だとォ〜〜！！？」」」」」」

砲撃手まで用意して、砲撃時間も予告しておいて、
その上で時限式……。

つまりあの男はレインベースで言っていた通り、
他者を信用するという事を全くしていないんだ。

この貴族とカエルがミスをするかもしれないと、
自分の部下なのに信用していなかったんだ。

「あそこから砲弾を移動させないと……！！」

私が叫べば、ゾロさんが無理だと首を振り
ウソップさんも悲痛な叫び声を上げる。

「今から3km以上離れた位置に動かすなんて
不可能だ！！」

「でも、もうそれ以外に方法が」

全然頭が働かない。
どうしたら止められるのか、全く思い浮かばない。

思わず涙で視界が歪みかけた時、

「鳥……？」

大きな大きな１羽の鳥が、
時計台の所へと降り立った。

叫び→←タイムリミット

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す