電伝虫少女の海賊生活

温かい ページ23

「えっと、私って今は、何なんですか？」

凄い変な質問になってしまった。

自分でも何言ってんだろうって思ったけど、
今の私は一体何者なんだろう。

自分の事なのだが、
なんかもう、よく分からなくなってきた。

「お前は海難事故で死亡したってことになってる」

「海難事故？」

「嵐に巻き込まれて船が沈んだんだ」

成る程、それで海に浮かんでた所を
大きな電伝虫さんが助けてくれたのか。

「お前の記憶喪失は、
おそらくその事故による殻のヒビが原因だろう」

チョッパーさんの見立ては正しかったらしい。

「俺も詳しくは知らねェが、
お前の記憶は殻に保存される仕組みらしいからな」

殻に記憶が保存される……。
うーん、殻の中に脳みそでもあるのか？

電伝虫の仕組みってよく分かんない。

「……あの、私はこうして助かりましたけど、
その、乗組員の人とかは」

私は偶々電伝虫さんが拾ってくれて、
麦わらの一味の皆んなに助けられたけれど、
船ってことは他にも乗ってた人がいるはずだ。

しかし、私の言葉に大佐さんは何も応えず、
ただ葉巻の煙を深く吸って吐き出しただけだった。

––––きっと、助からなかったのだろう。

何も覚えてないとはいえ、少しだけ胸が苦しくなる。

「生きている事が分かった以上、
俺はお前には軍に戻ってもらうべきだと考えている」

確かに、記憶がないとはいえ元々軍の人間だったと言うのならそれが正しいのかもしれない。すると、

「ちょっと待て！ケムリン！
ナギは俺達の仲間だぞ！勝手に連れてくな！！」

さっきまで全然興味なさそうにしてたルフィさんが急に叫んだ。

今にも大佐さんに掴みかかりそうな勢いのルフィさんをナミさんが止める。

「ルフィ！元々ナギは私達が
巻き込んじゃっただけで普通の子なのよ！？」
海軍に引き取ってもらうのがナギのためにも––––」

「そんなん知らねェ！」

……子供か！

プイッと拗ねたようにそっぽを向くルフィさんに私は苦笑する。

けど、何でだろう。
ルフィさん達は海賊だけど、
一緒にいると何だか心が温かくなる。

まるで家族と一緒にいるような、そんな感覚。

私はそっと手首に巻かれた
仲間の印である包帯を撫でた。





それより、ずっと砂漠を移動してた上に
今はまだ7時前で朝早いせいかな。

……ちょっと眠いや。

私は「ふわぁぁぁぁ〜」とこんな檻の中で絶体絶命のピンチだというのに、不謹慎にも大きなあくびをしてしまう。

まぁ、ゾロさんは思いっきり寝てるけど。

午前７時すぎ→←檻の中で

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