電伝虫少女の海賊生活

ユバ ページ13

その後砂嵐は収まったものの、私達が走ってユバへ着けば、そこはエルマルと大して変わらない人気もなく砂に飲み込まれた町だった。

元々は立派なオアシスだったらしいが、
砂で地層が上がってオアシスが完全に飲み込まれている。

「旅の人かね…砂漠の旅は疲れただろう」

––––ザクッ…ザクッ…

どこからか声が聞こえて、
少し身を乗り出して前を見てみれば、

「すまんな、この町は少々枯れている……」

かつて水溜まりがあったであろう場所の砂をスコップで掘る細身なおじさんの姿があった。

重そうなスコップを痩せ細った腕で持つおじさんは
宿だけはいっぱいあるから好きに使っていいと言う。

「この町に反乱軍がいると聞いてきたんですが……」

ビビさんが少し顔をマントで隠しつつ尋ねると、

「反乱軍に何の用だね……」

ギロリとこちらを睨みつけ、
おじさんの顔が急に険しいものになる。

「貴様ら！まさか反乱軍に入りたいなんて
輩じゃあるまいな！！」

––––ビュンビュン！！

「「「「うわっ！？」」」」

一体その細腕のどこにそんな力があるのか。
おじさんは辺りに転がっていた樽や石をこちらに投げてきた。

そしてひと通りのものを投げ終えると、
おじさんは再び砂を掘り始める。

「あのバカ共なら…もう、この町にはいないぞ…！」

「何だとォ〜〜〜〜っ！！？」

「そんな……！！」

折角ここまで来たのに、
反乱軍は砂に飲まれたここを捨てて
ナノハナの隣町カトレアに拠点を移したらしい。

ここからまたナノハナまで戻るとなると半日かかる。

いや、むしろ体力はここへ来るまでに削られたから
もっとかかるかもしれない。



そんなことを考えていると、
途端に眠気が襲ってきてぐにゃりと視界が歪む。

あぁ、いつもこんな遅くまで
起きてる事なかったからなぁ。

どうでも良い事だけれど、
殻がついてから私は夜更かしができなくなった。

毎日一定時間必ず寝る様になった。

理由はよく分からない……。

近所のおばさん達には、
「子供はいっぱい寝るものよ」と言われた。

寝ない様にしなきゃと閉じかけの瞼を擦る。

「ナギ、眠いなら少し寝て
体力を回復させた方が良いぞ」

そんな様子を隣で見ていた、
普通のトナカイの様な姿で四足歩行している
チョッパーさんに声を掛けられる。

「……うん」

最後にそう答えた事までは覚えているが、
その後の事は記憶にない。

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