殿堂入り祝い(いつもとあまり変わりませんが(笑)) ページ28
「しょうちゃんの馬鹿！もう知らない！」
なんかどっかで聞いた台詞だ。呑気に脳裏でそんなことを考えながらも、掴んだと思った湯呑みがリモコンだったくらいには混乱している
意味もなく部屋をうろつき、テレビの前に座り込んで年甲斐もなく焦り、何が悪かったのか思い出す
連休に互いの都合があったから俺の部屋でAが好きな韓流映画を見ていると、急にそんなことを叫んで財布と携帯の入った小さなバッグをひっつかんで出ていった。冬に入り始めたから寒いだろうに、コートも着ないでだ
俺は頭をフル回転させて考え尽した。アイツならこの後どこにいく。自販機でカフェオレでも買って冷静になり、公園で呆然とし、行き場に困ってスーパーで立ち往生して…その後は…
.
「おい、そっちにA行っただろ」
「あー…NO.来てねぇぜ？」
「なんで言い淀んだ」
「はは…謝った方がいいんじゃねぇのか？」
持つべきは友だ。何ともわかりやすく返事をくれた。察するに、アイツは予想通り山田の元に行き、怒った理由も聞いたはずだ
鎌掛けるか。貴重な時間をくだらないことに費やしたくない。理由が分かったら謝って仲直り。これが現状のベストだ
「なんで怒ってんだか分かんねぇ…」
「…Question！テレビにイケメン俳優が映ってマス！！」
「あ？」
「可愛い可愛いAちゃんは言いました！かっこいい！演技上手！優しそう！セクシー！さぁイレイザーお前ならどうする！？」
「…そこまで褒めちぎってねぇよ」
「どうする！？」
個性がなくとも、こいつの声は元からデカい。耳がキンキンする。ああ、そういうことか。確かに主人公の恋敵の女優が出たときにそんなことをぼやいた気がする
俺がはっきり覚えていないくらい小さくぼやいたのに、アイツはなんて地獄耳なんだ
というか、そんな普通の女がするような嫉妬、Aもするのか。何となく面倒なような、嬉しいような、変な気分だ
「…そっちいくから、住所教えろ」
「もう来てたりして」
「ちょ、山田君！」
「…ありがとな、手間が省けた」
合理的ってやつね。山田は呟いて、電話を切った。Aの焦り気味の声は全く怒ってなくて、くだらないことで家を出て申し訳ない、くらいには思ってるみたいだ
ドアを開けると山田はいなかった。居心地悪そうに、けれど俺の眼をまっすぐ見つめて眉根を下げて立ち竦んでいるAの姿が、飼い主に叱られて反省する犬みたいだ
口元が緩むのを抑えて、冷えた白い手を引いた
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William(プロフ) - わ~コメントありがとうございます(^^)あのお話は数年間懐で温めてた自信作だったのでそう言っていただけて嬉しいです。番外編、頑張って更新しますので楽しみにしていてくださいね。いつもありがとうございます。 (2020年5月24日 23時) (
レス) id: 3ee161ce59 (このIDを非表示/違反報告)
モンキーリボン(プロフ) - 相澤先生のお話で目を舐める話を最近読んですごく印象に残ってたから読んでみたんですが、同じ作者様だったんですね！！好きです！！ (2020年5月24日 23時) (レス) id: 8f61effecf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：William | 作成日時：2020年5月23日 0時
