その後6 ページ25
「どうしよう…うう〜他の女に取られないでしょうちゃ〜ん！」
女性はそう叫びながら机に突っ伏す。私はまあまあ、と子供をあやすように彼女を慰める
初対面同士なのに、なんでこんなに泣けるんだ。私はそんなことを考えながら、湯呑みにお茶をついで差し出した
「えーほんとなんですけど…困ったなぁ〜どうしよ〜」
形のいい眉を下げて、女性はそうため息を吐いた。このやり取りを初めて数十分は過ぎたぞ。雄英の守衛を務めて数年と経ったがこれほど粘り強いお嬢さんは初めてだ
しかし熱狂的なファンを幾人と相手取ってきた私はあきらめず、すみませんね、と返し続ける
「これ渡してもらうだけでもいいんですけど…」
「あ〜そういうのもね、ダメなんですよ。たまに君みたいな人もね、いるんだけど何入ってるか分からないから」
「え、こういう人って！？いるんですか！？」
彼女は素っ頓狂な声を上げて驚いていた。イレイザ―ヘッドにこれを渡したい、と見せてきたのは小さな手提げに入った弁当箱だった
様子を見るに本当に身内なのだろうが、通行証もなしに通すと何があるのか分かったもんじゃない。私はそう自分に言い聞かせてまた口を開く
「ああ、差し入れ持ってくる人ね。いるいる、ミッドナイトとか、綺麗なヒーローの追っかけなんてしょっちゅうだよ」
「えー！！！どうしよう…私より綺麗な人来たら…浮気…不倫…いやまだ結婚してないけど…」
「イレイザ―ヘッドはメジャーじゃないから大丈夫なんじゃないかな？」
「あ！そっか！よかった〜」
単純な子だ。私はため息をつきながらそう考えて、その一方どこかほっと安心する。人が好さそうだからか同情してしまうのだ
「で、でもどうしよう…しょうちゃんのこと好きになっちゃう生徒さんとか絶対いる…」
「ど、どうだろう」
「だって声良いし厳しいと思ってたら実はすんごい優しいしちょーっと綺麗にしたらかっこいいし背も高めでしょ？笑顔とかもう、くらっとくる！ずきゅーんってなる！そうでしょ守衛さん！？」
「う、うーん…どうだろう」
何度か見かけたこともあるが、あの風貌でしかも愛想のない男に惚れるのは、相当な好きものじゃないと居ないんじゃ…そう思ったが彼女は畳みかけるようにうう、と地面に膝をついて頭を抱えた
「どうしよう…浮気…こわいよおじちゃん、私はどうすればいいのー！」
いや守衛さんからおじちゃんに変わってるよ。意外と図々しいなこの子
そして、冒頭に至るのだ
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William(プロフ) - わ~コメントありがとうございます(^^)あのお話は数年間懐で温めてた自信作だったのでそう言っていただけて嬉しいです。番外編、頑張って更新しますので楽しみにしていてくださいね。いつもありがとうございます。 (2020年5月24日 23時) (
レス) id: 3ee161ce59 (このIDを非表示/違反報告)
モンキーリボン(プロフ) - 相澤先生のお話で目を舐める話を最近読んですごく印象に残ってたから読んでみたんですが、同じ作者様だったんですね！！好きです！！ (2020年5月24日 23時) (レス) id: 8f61effecf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：William | 作成日時：2020年5月23日 0時
