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「消太」
友達が死んだ。俺が高二の時だった。高校付近の格安アパートで並んで部屋を借りていたからAはよく俺の部屋に出入りしてた
飯を作って持って来たり、宿題したり、だべったり、ほぼ毎日一緒に時間を過ごしてた
けど白雲がこの世を去ってから俺はあからさまに平静を保てず、学校では普通にしていても家に帰ると陰鬱な気分になりがちだった
「大丈夫？」
「ん…平気」
「無理、しないでね？」
「分かってるよ…」
「これ、山田君が渡してって…お夕飯、何がいい？うどん？」
「うん…それが、いいかな」
かろうじて言葉を返す。Aは優しいから何も聞かずに頷いて、時間になると部屋に入ってきて黙って飯を食べる
感情の琴線が敏感な時は誰にでもある。俺だってそうだ。あの日、俺はどうしようもなく鬱なだった
だから、Aが優しくしてくるのが嬉しくて、ありがたくて、自分が情けなくて、あいつの顔を見たら涙がでてきた
「泣かない、で」
「ご、めん」
「ごめんなさい、ごめんなさい、」
「なんで、謝んだよ…」
「何もできなくて、ごめんね…」
Aは壁に凭れて泣いてる俺の前にしゃがみ込んで、抱きしめてくれた。腕が細くて、抱きしめ返した背中は狭くて、体温はぬるかった
体が離れて、頬に小さな手が触れた。伝う涙を拭う。何度拭っても流れ続ける涙を、何度も、何度も、丁寧に拭き続ける
あの言葉を聞いて、あぁこれ以上俺と居たら、Aは不幸せになると思った
根拠はないけど直感だった。身近な人間の死に触れて、色々と過敏になっていたのもあると思う
「しょうちゃん、」
そうやって呼ばれるの、ほんとは好きなんだよ。照れくさいから言わないけど。たまに呼ばれると、死ぬほど安心する
「もう、来ないでくれ」
「…へ？」
「…ほっといて、ほしい」
「ん…分かった、いつまで？」
なんでと、問わなかった。俺が聞くなと撥ねつけるような眼をしたから。俺のことを何よりも大事にしてるAはいつも様子を伺ってた。その時は、特に気遣ってくれた
嫌だといったことは、しょうちゃんって呼ぶの以外二度としなかった。
「俺が、いいって言うまで」
顔を伏せたままだったからどんな顔をしていたのかは分からなかったが、Aは黙って頷いた
小さな手とぬるい温度が離れていく。部屋を出ていく音が聞こえた。そのまま横になった。胸糞悪くて、世界なんか終われよ、なんて思った
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William(プロフ) - わ~コメントありがとうございます(^^)あのお話は数年間懐で温めてた自信作だったのでそう言っていただけて嬉しいです。番外編、頑張って更新しますので楽しみにしていてくださいね。いつもありがとうございます。 (2020年5月24日 23時) (
レス) id: 3ee161ce59 (このIDを非表示/違反報告)
モンキーリボン(プロフ) - 相澤先生のお話で目を舐める話を最近読んですごく印象に残ってたから読んでみたんですが、同じ作者様だったんですね！！好きです！！ (2020年5月24日 23時) (レス) id: 8f61effecf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：William | 作成日時：2020年5月23日 0時
