探偵社の妹分はヒーロー科に行くそうです。 (ページ10)

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行ってきます。ページ10

時は流れていよいよ出発だ。

流石に静岡まで毎朝登校するのは大変だし、いざという時にすぐ雄英高校に向かえるように高校の近くのマンションの一室を借りている。
だから、当分は横浜には帰ってこれない。

正直寂しいし、ホームシックというか探偵社シックになる自信しかないけど、社長から直々に託された仕事。絶対にやり切ってやる。
そう意気込んでいると

晶「体調には気を付けるんだよ。」

ポンッっと頭の上にあたたかい手が乗った。

其れを皮切りにする様に皆も其々「がんばれ。」「無理はし過ぎないようにね！」「きちんと任務を遂行してこい。」などと応援の言葉を掛けてくれる。

そして、最後に社長に呼び掛けられた。

社「A」

『！はい！』

社「此れを持っていけ。」

そう云って、私に差し出したのは

『短剣……？』

社「そうだ。此れを常に持って歩け。お前の任務は学生達を守る事だ、だが此れは己の身を守る物として持つのだ。護衛とは護衛対象だけを守れば良いのではない。己の身も含めて守ってこその護衛だ。故に、其の事を忘れぬよう、いざという時に己を守る刃として持ち歩け。」

ドクリと心臓が鳴る。

恐る恐る伸ばした私の手に乗った其れは普通のものの何倍も重く感じた。

社長は以前用心棒をしていたのでだそうだ。だからこその言葉なんだろう。

実際は、護衛と云っても何もない可能性の方が高い。
だけど、其れでもそれだけの覚悟を持て、と云う意味だ。

私は自分の中の覚悟を確かめるように短刀をギュッと握り締める。

そして、社長を皆を真っ直ぐと見つめて云う。

『行ってきます。』