おめでとう ページ9
「小学生の頃のことを全部許してほしい訳じゃないの。」
私が言葉に詰まっていると、淡々と話し出す由菜。
「挨拶からでもいいから、また、あの頃みたいになりたい。」
『.....。』
「A...っ。」
私は引き留めようとする由菜の声を背に、屋上を出た。
あの頃みたいに、なんて絶対に御免だ。
あの頃みたいに守ってくれる初兎はもういないから、自分で何とかしないと。
あの頃に戻れたら今より幸せなのかな。
あの頃に戻りたい、戻りたくない、どっちも自分の本心。
初兎が大嫌い、これも自分の本心。
それじゃあ、私は私のことをどう思ってるんだろうか。
どんな言葉を当てはめても、綺麗にはまらない。
解けない問題とか、答えのない問題なんて、もういらないから。
私は少し涼しい10月の風に背中を押されながら、家へと一直線で帰った。
家のドアを開けて、リビングへ向かうと初兎のお母さんがいた。
軽く挨拶をして、自分の部屋に向かおうとすると、何故か引き留められた。
『何ですか。』
「これね、初兎の部屋から見つかったの。」
そう言い、初兎のお母さんが差し出したのは兎のぬいぐるみ。
そのぬいぐるみの手元には、"誕生日おめでとう"と書いたメッセージカードがあった。
『.....ありがとう、ございます。』
「お礼なら、あの子に言ってあげて。」
私は声を出さずに頷いて、今度こそ自分の部屋へ向かった。
『初兎のバカ。私だって、用意してたのに...っ。』
そう、初兎の誕生日は1月。
今は10月、8月くらいから用意してた。
なのに、なのに初兎は、私を置いて何処かに行った。
『独りに、しないで...。』
心の底から出た本音。
独りなんか好きじゃない。
会いたい。
そんな気持ちに蓋をするかのように私はメッセージカードを開いた。
そこには初兎の字が並んでいた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
Aへ
誕生日おめでとう！俺からのぬいぐるみ、気に入ってくれた？
ていうかA、もう17歳か、早いなぁ。
俺もあと３ヶ月もしたら17歳やなぁ。実感ないわw。
あ、もし良ければ今度さ、誕生日のお祝い、ってことで一緒にご飯食べに行こや！
美味しいお店調べとくわ。勿論俺の奢りで！
財布が死んだらAのせいやからな！w
んじゃ、返事待ってるで。
初兎より
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
私はそっとメッセージカードを閉まった。
そして初兎への返事の代わりに、ぬいぐるみをぎゅっと抱き締めた。
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ちと(プロフ) - まじで泣いてしまう...初兎ちゃんと、夢主さんにはあのままの日常を送ってほしかったなぁ... (8月22日 15時) (
レス) @page16 id: f6b0a849c1 (このIDを非表示/違反報告)
Near - ひーいれりすさん» 返信遅れちゃいました〜！すみません💦涙を止めること....できないですねｗ ハンカチで拭いといてください！！() (2023年3月26日 14時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
ひーいれりす - すいません誰か涙を止められる人はいませんか… (2023年3月6日 23時) (レス) @page23 id: 166743b295 (このIDを非表示/違反報告)
Near - 瑠夏さん» 目からスライムという表現で笑ってしまった() 人を泣かせる天才....。ありがとうございます（？） (2022年11月14日 20時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
瑠夏 - やばっ目からなんかスライムが止まらない(;~;)Nearさんは人を泣かせる天才かな？？ (2022年11月14日 6時) (レス) @page23 id: 427d2fc8fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Near | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Naer/
作成日時：2022年9月5日 18時
