もういいよ ページ12
「なぁ、A。」
ふと、声が聞こえた。
声の聞こえた方向を見ると、そこには初兎が真剣な顔をして座っていた。
『なに？』
「こっち来て。」
初兎は軽く手招きをして、自分の隣に私を座らせた。
私は初兎に言われた通りに大人しく通りに座る。
「.....Aが辛かったり、助けてほしい時は僕のことを呼んでな。絶対助けに行くから！」
ニコッと笑みを浮かべ、初兎は自分の小指をこちらに向けた。
私はそっと初兎の小指に自分の小指を絡ませた。
「約束やで。」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
初兎が無邪気に笑ったところで目が覚めた。
『約束、か...。』
ねぇ。数年前の約束でも、期限は有効かな？
もしも有効だったら、
『辛いよ。』
今すぐ、会いに来てよ。
ぎゅって、抱き締めてよ。
大嫌いだけど、
『大好きだよ。』
掠れた声は、あの日のように誰にも届くことはなかった。
代わりに、お母さんが私を呼ぶ声が聞こえた。
私はごしごしと目を擦って、自分の部屋のドアをそっと閉める。
「由菜ちゃんが来てくれたわよ。」
『...え？』
「A、話したいことがあるの。」
驚く私の腕を引っ張って、由菜は私の先を歩いた。
ずっと昔からそうだった。臆病な私とは正反対に、由菜はズカズカ突き進んで行って。
まるで私だけ取り残されてるみたいで、そんな感覚が嫌いだった。
人が嫌いなのは、由菜が原因なんかじゃない。
ただ、自分が傷付かないように、周りから距離を取っていただけ。
「ごめん。」
由菜は足を止めてそう呟いた。
私の腕を掴む由菜の手は、微かに震えていた気がした。
「私、初兎くんとAのこと、何も知らないのに...。これじゃあ、昔と変わんないね。」
『....違う。』
そう、小学校の時だって、由菜は何回も聞いてくれた。
「Aは初兎くんのこと好きなの？」って。
あの時、ちゃんと弁明しておけば良かったんだ。
『あの時も、今も、由菜だけが悪かったんじゃない。』
私は大きく息を吸って、ちゃんと由菜の顔を見た。
『だから、もう謝らないで。』
由菜は大きく目を見開いて、私のことを見た。
「...っ。ごめん、なさい。」
俯いて、"ごめんなさい"。そう連呼する由菜。
私は由菜の頭をそっと撫でた。
『......もういいよ。』
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ちと(プロフ) - まじで泣いてしまう...初兎ちゃんと、夢主さんにはあのままの日常を送ってほしかったなぁ... (8月22日 15時) (
レス) @page16 id: f6b0a849c1 (このIDを非表示/違反報告)
Near - ひーいれりすさん» 返信遅れちゃいました〜！すみません💦涙を止めること....できないですねｗ ハンカチで拭いといてください！！() (2023年3月26日 14時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
ひーいれりす - すいません誰か涙を止められる人はいませんか… (2023年3月6日 23時) (レス) @page23 id: 166743b295 (このIDを非表示/違反報告)
Near - 瑠夏さん» 目からスライムという表現で笑ってしまった() 人を泣かせる天才....。ありがとうございます（？） (2022年11月14日 20時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
瑠夏 - やばっ目からなんかスライムが止まらない(;~;)Nearさんは人を泣かせる天才かな？？ (2022年11月14日 6時) (レス) @page23 id: 427d2fc8fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Near | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Naer/
作成日時：2022年9月5日 18時
