検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:8,182 hit

修道院の中で 2 ページ19

歩き出して、気付いた。
服が、違う!?

「これは……?」

裾を引っ張って尋ねた。

「ああ、服のことですね。
それは、あなたが持っていた荷物に入っていたものですよ」

「あの、臭いとかは……?」

水牢に長く置いてあったものだ。
あの時思ったように、酷い臭いが付いていてもおかしくない。
でも、全く臭わないのだ。

「私たちが一生懸命こすって、落としました。
大変でしたが、良い運動になりましたよ」

「ありがとう、ございます……!」

その手を握って頭を下げた。

「さらに、前の服はあまりにも汚れていたので、着替えさせてもらいました。
どこかきついところはありませんか?」

「いいえ、大丈夫です。
僕にここまでしてくださって、お礼のしようもありません……!」

「お礼、だなんて……。
あなたたちが元気な姿でここを旅立つこと、それだけで充分ですよ」

「わかりました……!」

ゆっくりと手を離し、もう一度深くお辞儀をしてからその場を離れた。


右に、大広間があった。

「あの……」

オルガンの側にいる人に、話しかけた。

「お話は聞いています。
10年以上も奴 隷として働き、やっと自由の身になったとか。
あなたは、もう誰からも命令されないでしょう。
父上も亡くなった今、何処に行き何をするか、これからは全て自分で考えなくてはなりません。
しかし、負けないでくださいね。
それが生きるということなのですから」

「はい、全てを自分で決めて、生きていきます……!」

少しずつ滲んでくる視界。
僕は目を腕で覆った。
泣いていることを、悟られまいとして。

「……大丈夫ですか?」

肩に手を置かれ、そう尋ねられた。

「はい……っ!」

返事に、僅かながらの嗚咽が混じった。

「本当に、大丈夫です……!
これから、僕は、頑張って生きます!」

腕で涙を拭って、そう答えた。

「くれぐれも、無理だけはなさらないでくださいね」

「わかりました!」

修道院の中で 3→←修道院の中で 1〜ヨシュアの今



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (25 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

チョコボスライムヨッシーピクミン(プロフ) - 日波輪廻さん» コメントありがとうございます!! 高評価もありがとうございます!!! そう言っていただき嬉しいです!! (2017年2月19日 12時) (レス) id: ecfbb83cdb (このIDを非表示/違反報告)
日波輪廻(プロフ) - 読みました!ドラクエ私も好きです!とても面白かったです!星も一番右を押させていただきました! (2017年2月19日 10時) (レス) id: 2dbf9d3e38 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:チョコボスライムヨッシーピクミン(スラヨシ) | 作者ホームページ:http://dqpikuminnovels.blog.fc2.com/  
作成日時:2014年7月26日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。