DQ5 十年余りの労働

修道院の中で 1〜ヨシュアの今 ページ18

「……ここは？」

いつの間にか、揺れが止まっていた。
それどころか、ベッドの上で寝ていた！
隣には……？

「ああ！
気が付かれましたのね！」

青い服を着た、女の人？

「もう3日も眠りっぱなしで、このまま起きないのではと心配していましたのよ」

「3日……！？」

そんなに長く眠っていたとは！

「そうですよ。
……しかし、樽の中に人がいたのには驚いてしまいました。
お連れの方からお聞きしたのですが、とんでもないところから逃げていらしたとか……」

あの、神殿のことだ。
本当に、とんでもないところだった。

でも、それはもう過去の話。
僕たちは、そこから逃げ出すことが出来たのだ！

それにしても、ここは何処だ？

「ここは、名もない海辺の修道院です。
元気になるまで、ゆっくりしていってください」

「わかりました！」

多分、ここが“背の高い建物”だろう。
樽に乗った後にヨシュアが言っていた、あの場所。

……ちょっと待った。
まさか、彼は、既に……！？

「3日経ったって、本当ですか！？」

「そうですが、何かありましたか？」

「いえ、特に何も……」

ここを暗い雰囲気にしたくない。
でも、彼は、2日前に、樽に詰められて流された……。
それは、変えようのない事実なのだ。

「この3日で、他に樽は来ませんでしたか？」

「いえ、あなたたち3人だけですよ」

……よかった。
マリアが、自らの兄の変わり果てた姿を見ずに済んで。
おそらく、魔物に襲われてしまったのだろう。
彼は、海の魔物の一部となって、永遠に“生き続ける”。
その第二の人生に、少しでも多くの幸せが訪れますように。
そう願って、僕は部屋を出た。

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