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そうやってぐずぐずと泣くだけの私に、ジョングクは痺れを切らしたようにティッシュを押し付けて、乱雑に涙を吸い取る。
JK「公私の境界が曖昧で線引きが難しいって嘆いたって、お前が好きになっちゃったのはメンバーなんだからしょうがないだろ？」
MG「やー、そんな風に言ってやるなよ…… 元も子もないだろ……」
JK「でも事実だよ」
とにかく優しいふたりとは違って、いつも少し私に厳しいジョングクにちょっとだけムっとする。だけどそれも本当に私のことを親身に考えてくれているからで、その厳しさこそが今まで何度も私を救って来てくれたので、憎みきれずに続きを聞くことにする。
JK「……俺がお前の隠れてたホテルに行った時、お前、別に幸せになりたいなんて思ってないって言ったの、覚えてる？」
『うん。覚えてるよ』
ジェヒョンのくれた「会いたい」という一言の手書きのメモを読んで思わず号泣した私に、ジョングクは「俺の方が幸せにしてやれる」と言って。なのに私は、幸せじゃなくても良いからジェヒョンと一緒にいたいと、愚かすぎる愛を選んだのだ。
JK「あの時のA、本当に綺麗だった。怖いくらいに綺麗だったよ。
愛と幸せが必ずしも比例しないなんて、そんなの悲しいけどさ。でも、それでも良いって迷わずにジェヒョンとの愛を選ぶAは、凄く強くて、敵わないと思った」
ふたりであの部屋にいた瞬間を思い出して、ジョングクの想いにこたえてあげられなかった自分に少しだけ胸がチクりと痛む。それは本人も同じようで、心なしか眉根に力がよるけど。
今はもう、あの時よりも、ずっと清々しい表情をしていた。
JK「だから、大丈夫。お前達ふたりは、確かに難しいけど、絶対に乗り越えられるふたりなんだよ」
ふわりと抱きしめてくれたその腕は、見た目の逞しさからは想像もつかないほどに優しくて。
それがそのままジョングクの優しさだと気付いているから、せっかく涙を拭いた私は、結局もっと泣いてしまった。
彼は、私にくれる愛に、いつも見返りを求めない。
こんなどうしようもない女を好きだと言ってくれて、その気持ちにはいつまでもこたえてあげられず曖昧な態度ではぐらかすのに、逆に私の背中を押してくれる。
その優しさに漬け込むように頼ってばかりの私も私だけど、好きな女の背中おしちゃうあんたも大概バカな男だよね、なんて心の中で悪態をついて。
だけどやっぱり体重を預けてしまうその胸の中は、温かいのが余計に切ない。
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ゆゆ(プロフ) - 塩水さん» コメントありがとうございます！熱心に読んで頂いているのが伝わってきて、私の方が素晴らしい読者さまに届いて嬉しく思います。これからもご期待に応えられるよう頑張って更新するので、引き続きご愛読頂けると嬉しいです！ (2021年3月5日 17時) (
レス) id: e6590da59e (このIDを非表示/違反報告)
塩水(プロフ) - お話を読み返すほど作品に対する熱情が伝わってきて、こんな素晴らしい作者さんが書く、素晴らしい作品に出会えてよかった、と思いました。初めてのコメントで拙い文章になってしまいましたが、最後まで読んでいただけると幸いです!長文失礼致しました! (2021年3月5日 17時) (レス) id: ca8e68c7c0 (このIDを非表示/違反報告)
塩水(プロフ) - こんばんは。いつも紅一点シリーズ楽しませて頂いております!その場や人の細やかな心情を表現する文章は勿論、紅一点という題材を元にK-POP界の様々な問題を取り上げてストーリーに練りこんだこの作品が大好きです! (2021年3月5日 17時) (レス) id: ca8e68c7c0 (このIDを非表示/違反報告)
なおてぃん(プロフ) - ゆゆさん» 禁句は笑いました（笑）これからもこのお話の中のジェヒョン達がどのように幸せを掴んでいくのか見守らせてください(^^)応援しています！！ (2021年2月24日 16時) (レス) id: 600e5004d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - なおてぃんさん» 温かいコメントありがとうございます。さらに好きになっただなんて、一番の褒め言葉です……！正直私もジェってこんなに優しくない気もしますが(禁句)笑、このお話の中では彼女に出会って過ごす日々が彼をこうしたのだと思います。これからも応援よろしくお願いします！ (2021年2月22日 13時) (レス) id: e6590da59e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆゆ
| 作成日時：2020年12月30日 1時
