解体できない代物 【松田陣平】

CASE:11 手が震える…。 ページ13

宮本「えっ！？松田さん！？どうして…。」

松田「あんた、確か…。佐藤の同期の…“宮本”だったか？……"どうして"って、まぁ…他人がやってる解体(バラシ)にも興味があるからだろうな。それより、ちょっと静かにしてやってくんねぇか。解体(バラ)してる方は集中してんだ。」

(あぁ…。やっぱり来られたんですね…松田先輩。)

宮本「あっ、ごめんなさい。」

松田「ハギ。"解体(これ)"始めて何分だ？」

萩原「１分だな。」

松田「フッ！…へぇー。」

(松田先輩が笑ってる…？私、もしかして"遅せぇな、使えねぇ奴"って思われたかな！？…しかも、どうしよう…急に手が震え出した。松田先輩に解体見られて緊張してるの？…してるか、だって私だもん。ダメだ、邪念が多すぎる…集中する私！今考えるべきことは――。)

松田「なぁ、あんた――。」

？？「ちょっと松田くん！！電話してたと思ったら――。」

松田「佐藤！！…ちょっと静かにしてろ、“こいつ”の集中を削ぐんじゃねぇよ。最大でも、あと９分弱だ。報告書は戻ったらすぐやるからよ。」

佐藤「『“こいつ”の集中を削ぐんじゃねぇ。』ってどういうことなの？それに誰のこと…って、これっ！」

松田「落ち着け、佐藤。爆弾(コイツ)は昨日俺とそこにいる"爆処班"の萩原が作った偽物(レプリカ)だ。心配は要らねぇよ。…で。それを解体してんのは、“あんたの同期”の後輩だ。…状況分かったら、ちょっと静かにしててくれ。」

佐藤「…ごめん。」

松田「…フッ、緊張解けたようだな。良い調子だ、そのままやんな。」

A「はい、松田先輩。」

私は手を止めることなく、爆弾の方を向いたまま返事した。

(松田先輩にも緊張してたことバレてたけど、逆に戻ったのも分かったんだ。やっぱり、すごい人だな！……わっ！『良い調子だ』って褒めてくれた！)

松田先輩に褒められてからしばらくは、周りも静かになって集中力が高まった。

(えっ、ちょっと待って。"こんな仕掛け"まで仕込んだの！？…先輩方"鬼"だけど、手を抜かないでくれたのはさすがですね！…でも、どうしたらいい？手が２本じゃ足りない…。考えるの…最善の方法を。)

松田「あんた、萩原から解体の成功条件…聞いてねぇのか。」

A「えっ…。」

思わず顔を上げて松田先輩に聞き返しそうだったけど、ぐっと堪えた。

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