解体できない代物 【松田陣平】

CASE:09 明日の約束。 ページ11

宮本「…いるのよ。『本物の実力者だ』って警視庁内で"伝説的な存在"になってて、“現エースの萩原隊員”も認める…“元エースの松田陣平”って男がね！今は"捜査一課の刑事"よ。」

同僚A,B「いや。そんな人と張り合あるって、どう考えてもすごいって！」

A「だから張り合えないってば！人の話聞いてた？…私なんかと一緒にしたら、“松田さん”にすっごく失礼だからやめてよね！」

宮本「Aちゃん！この間の話、うそじゃん！『憧れの人なんていません』って言ってたのに。(ニヤニヤ)」

A「宮本先輩。ここからは黙秘権を行使するので…そのつもりで。」

宮本「相変わらずツレナイなぁ！」

ごめんなさい、宮本先輩。
私の、こんな深い海みたいな…底なしの"悲しみの感情"なんて――。
きっと誰にも分からないと思う。

もしあなたの身に死ぬようなことが降りかかってきたら、あなたは私に「自分を追って死んでもいい」とは言ってくれないのでしょう？

そんな中途半端な気持ちで、私の中に入って来ないでほしいんです…お願いだから。

A「はいはい。……萩原先輩、私のわがままに付き合っていただいてありがとうございました！また時々お願いしても…？」

萩原「いいよ、もちろん。…っていうか、明日もここでメシ食べてる？Aちゃんの実力見誤っちゃったから、俺がリベンジしたい。」

A「それはいいですけど、私…邪魔してませんか？萩原先輩の…。お昼…ゆっくり食べられなかったんじゃ…？」

萩原「それは大丈夫、食べてからきたからさ。邪魔？邪魔なんてしてるわけないっしょ。むしろ今日は"松田に劣らない爆弾解体"が見れて楽しかったよ、良い刺激になった。…腕前、相当なもんだから自信持ちな！」

A「萩原先輩……。ありがとうございます！」

萩原「…じゃ、また明日ね〜。」

そう言って、彼は解体後のレプリカを持って交通部を後にした。

――萩原先輩に、解体技術認めてもらえた…嘘みたい。

でも、正直"嬉しさ"より…"驚き"が勝ってて実感湧かないや。

――「腕前、相当なもんだから自信持ちな！」

この言葉が、この後しばらくは脳内で巡っていたため…私は放心状態だった。

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