48−あなたはオオカミ ページ48
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魔法の力も無い。
ありのままの自分を見せることがこれほど辛い事だったなんて。
私は彼に見合うような人物ではない。
ただの屋敷の使用人で……美しいドレスも無い。
「やっと会えたなァ」
「……実弥、王子」
「そんな畏まった呼び方すんな」
「でも、あなたは、王子様で……私は」
その先の言葉が出てこない。
彼の顔が上手く見られない。
彼は私をどう思っているのだろう。
森で数回出会っただけの私が、彼の目にはどんな風に映っているのだろう。
「……王子様、聞いてください」
「あァ」
「――本当の私は、王女でもなく馬車も持っていません
両親を失い持参金もありません」
自分で言った言葉が心に深く突き刺さる。
声が震える。それでも、彼は私をまっすぐ見つめて、私のつたない言葉を待ってくれている。
「それでも……愛してくださる？
――あなたを愛する娘を」
「……ありのままの俺で良ければ」
彼の言葉は私を勇気づける一番の魔法。
ネズミが馬にならなくたって、カボチャの馬車がなくたって、彼はたった一言だけで私を一歩前へ進める魔法使いだ。
彼の手が私の頬にそっと添えられて、愛おしそうにその目は細められた。
「A」
「……はい」
「俺は誰だ」
こつんと額がくっつけられる。
もう何も怖くなんてなかった。
「＿＿あなたはオオカミ」
すっぽりと覆いかぶさるように安心する胸に包み込まれた。
幸せで優しい彼の香りがいっぱいに立ち込める。
彼と手を握って屋敷の玄関へと向かう。
すると階段には憎くて仕方がなかった奥様と姉様が居た。
＿今までの生活が脳裏に浮かぶ。
苦しくて仕方がなかった日々。
「＿あなたを許します」
「……」
私にできることはそれだけ。
両親から貰った優しさを忘れない。
――それから、彼女達は王国から出て行ったらしい。
善逸や森の動物に報告しに行けば泣いて喜んでくれた。
そして、今日は実弥王子様が国王になる記念日。
――…同時に、私達の結婚式でもある。
「柄じゃねェ事をすると緊張すんなァ」
「ありのままの貴方を受け入れてくれるわ」
沢山の国民が私達を祝福してくれている。
「俺だけのA」
「私のオオカミさん」
勇気と優しさがあれば真実の愛を見つけられる。
＿＿それと、ほんの少しの魔法と。
あなたはオオカミ
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えん - 実弥推しだったので、すごく嬉しいです！リクエストできるなら、白雪姫の夢主と王子の実弥、鬼滅キャラの七人の小人、見てみたいです！ (2021年6月3日 20時) (
レス) id: dfa45071da (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - 実弥オオカミ！素敵です！リクエストしたいです！何だっけ？獣の子？の主人公を女にして師匠を実弥に、で恋物語に…それかオオカミ子供のアメとユキ？かジブリのハウルパロディ、もし叶うなら小芭内をお願いしたいです、玄弥、小芭内のお話ラブなのがなかなか無いので (2021年3月13日 14時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
めあり - 鬼滅版シンデレラですね (2021年2月14日 4時) (レス) id: ca5a6634ce (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 湯海さん» 湯海様、最後までご愛読ありがとうございました！沢山うんうんと悩んだ結果の役ハメでしたので、そう言って頂けて努力した甲斐がありました…！この作品での実弥王子は本当にまっすぐでありながらもあざとかったですね……それすらも愛おしい(錯乱) (2020年11月30日 17時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ayaさん» コメントに気付くのが遅くなってしまいました、すみません！aya様、こんな所にもコメント残して下さってたんですね…！ありがとうございます！aya様を幸せにする小説を作り上げることができて嬉しいです(^^) (2020年11月30日 17時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おそらまめ
| 作成日時：2020年5月31日 17時
