33−永遠のダンス ページ33
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他の女性と日にならない程彼女は目立っていた。
_それこそ、大国の王女が見劣りしてしまう程。
誰もが彼女に見惚れていた。
「__失礼」
「…っえ、ちょっと……」
王子は嬉しそうに笑って王女の手を振りほどいたのだ。
そして一点に彼女だけを見つめる。
_やっと見つけた。俺だけのプリンセス。
優雅に階段を下りて身なりを整える王子。
対して注目の的の彼女は、どこ吹く風。宮殿の豪華なシャンデリアに夢中。
手すりを伝ってゆっくりと向かいの階段を下りてくる。
それを王子は下から待っていた。
「……美しい姫君」
「え……?」
階段を降り切って、ようやく自分に視線を注がれている事に気付く。
そして彼女と王子の間に道ができている事も。
王子との初めての対面に声が出ない姫君_基、A。
そんな彼女を愛しむような瞳で捉えて、ゆっくりと近づいて行った。
「今晩は。君にまた会えて、嬉しい」
「……また? どこかで出会いましたか?」
「いや、こちらの話だ。…姫君、もし、よろしければ」
緊張な面持ちで直立すると、身なりを再び整えてから咳払いを一つ。
そんな緊張が彼女にも伝ってなんだかおかしくなってしまった。
くすぐったい気持ちを抑え、目の前の美青年を見上げる。
_顔に傷のある、いたいけな青年。
その4本傷が最愛のオオカミと瓜二つで……意思とは反して胸が早鐘を打ち始める。
「_ぜひ、お願いしたい。
貴方の手を取って踊る名誉を」
「……!」
「最初の……ダンスを」
手袋の白い手が彼女に差し出される。
「……いいかな?」不安気味に覗く瞳は"彼"と同じ呂色。
どこか懐かしいから。どこか愛しいから。
だからいつの間にか、彼の手を取っていた。
「_私で良ければ」
手を取ったのを合図に音楽が流れる。
そして彼の逞しい腕が細い腰に回り、また彼女は息を呑んだ。
密着する体がいつになく熱い。
恥ずかしさで死んでしまいそうなのに、彼からの熱い視線を逸らすことが出来なかった。
ダンス中、一度も逸らされる事の無い彼の視線。
それはまるで愛しい人を見つめるかのように、頬を染めるAに甘く注がれる。
〜♪
「…っきゃ、」
ダンスの山場になり、突如王子が彼女の腰を掴んで抱き上げる。
美しいドレスが空気を含んでふわっと広がると、周りの参加者はわっと歓声を上げた。
力強い王子の腕に抱かれて、彼女も自然と顔を綻ばせていた。
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えん - 実弥推しだったので、すごく嬉しいです!リクエストできるなら、白雪姫の夢主と王子の実弥、鬼滅キャラの七人の小人、見てみたいです! (2021年6月3日 20時) (レス) id: dfa45071da (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - 実弥オオカミ!素敵です!リクエストしたいです!何だっけ?獣の子?の主人公を女にして師匠を実弥に、で恋物語に…それかオオカミ子供のアメとユキ?かジブリのハウルパロディ、もし叶うなら小芭内をお願いしたいです、玄弥、小芭内のお話ラブなのがなかなか無いので (2021年3月13日 14時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
めあり - 鬼滅版シンデレラですね (2021年2月14日 4時) (レス) id: ca5a6634ce (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 湯海さん» 湯海様、最後までご愛読ありがとうございました!沢山うんうんと悩んだ結果の役ハメでしたので、そう言って頂けて努力した甲斐がありました…!この作品での実弥王子は本当にまっすぐでありながらもあざとかったですね……それすらも愛おしい(錯乱) (2020年11月30日 17時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ayaさん» コメントに気付くのが遅くなってしまいました、すみません!aya様、こんな所にもコメント残して下さってたんですね…!ありがとうございます!aya様を幸せにする小説を作り上げることができて嬉しいです(^^) (2020年11月30日 17時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年5月31日 17時