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15−運命 ページ15

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「――…帰らねェのか?」

「もう少しだけ。一緒に居たいな」





彼に対するなんていう感情なのかは分からないけど、私は今この瞬間、実弥と離れたくないと思った。

素直な気持ち。
実弥は黙って横になる。





「…一緒に寝るかァ?」

「いいの?」

「こっち来い」





尻尾で床をぱたぱたと軽く叩いて私を呼び寄せる。

すりすりとお尻で移動してぴとっとくっつけば、彼の体は思っていた以上に暖かかった。


そして促されるまま、包み込まれる形で実弥の胴体に頭を預ける。





「俺はあったけェだろ」

「うん。とても…」

「……A」





不意に寂しげな声が私を呼んだ。
頭を動かして実弥の方を見遣ると、至近距離で綺麗な顔と出会う。


その次の実弥の言葉を待っていると、その前に彼の長い舌が私の頬をざらりと舐めた。





「っわ、くすぐったい…」

「A……」

「なあに? 実弥」

「っ、お前は……運命を、信じるかァ」





縋るような彼の瞳が不安げに私を覗く。
彼は何を抱えているのだろう。

いきなりどうしたの、なんて聞くのは野暮だった。





「__信じるよ」

「…!」





運命や奇跡は、必ずある。
どんなに辛くても悲しくても、信じていれば夢は叶うのと一緒。





「私は貴方と出会えた事が運命だと思ってる」

「…そうか」





これは果たして正解だったのかな。
だけどそれを尋ねなくても、彼の顔つきが物語っていた。

じっと見つめていると細やかに彩る目が私を見下ろす。
優しく細められくすぐったい気持ちがした。





「…前も聞いたが、お前は俺が怖くねェんか」

「ええ、怖くない」

「…喋ンだぞ」

「生憎、私は動物の声が聞こえるの」

「……は?」





意を決して彼に告白すると、やはり驚愕に満ちた声が頭の上に降りかかってきた。

「変でしょ、私」なんてとぼけた様に言う。
何度も言われ慣れてる筈なのに、どうしてだろう。

 実弥にだけは、「変だ」と笑って欲しくないんだ。





「……別に、変じゃねェよ」

「え?」

「動物の声が聞こえる人間は心が優しいって証拠だ
俺の父様も聞こえてた」

「…そっ、か」

「そうだァ」




ため息が出るほど、彼の言葉はすとんと胸に着地した。
なんて言うんだろう、この気持ち。
恋に似ている、何か。


実弥を見ると、胸がドキドキして痒い。
だけど彼の側から離れがたい魔法。





「…おやすみ、実弥…」

「…あァ、おやすみ」






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16−目覚め→←14−凭る慰み



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えん - 実弥推しだったので、すごく嬉しいです!リクエストできるなら、白雪姫の夢主と王子の実弥、鬼滅キャラの七人の小人、見てみたいです! (2021年6月3日 20時) (レス) id: dfa45071da (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - 実弥オオカミ!素敵です!リクエストしたいです!何だっけ?獣の子?の主人公を女にして師匠を実弥に、で恋物語に…それかオオカミ子供のアメとユキ?かジブリのハウルパロディ、もし叶うなら小芭内をお願いしたいです、玄弥、小芭内のお話ラブなのがなかなか無いので (2021年3月13日 14時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
めあり - 鬼滅版シンデレラですね (2021年2月14日 4時) (レス) id: ca5a6634ce (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 湯海さん» 湯海様、最後までご愛読ありがとうございました!沢山うんうんと悩んだ結果の役ハメでしたので、そう言って頂けて努力した甲斐がありました…!この作品での実弥王子は本当にまっすぐでありながらもあざとかったですね……それすらも愛おしい(錯乱) (2020年11月30日 17時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ayaさん» コメントに気付くのが遅くなってしまいました、すみません!aya様、こんな所にもコメント残して下さってたんですね…!ありがとうございます!aya様を幸せにする小説を作り上げることができて嬉しいです(^^) (2020年11月30日 17時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年5月31日 17時

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