陸 ページ6
「Aちゃん…、Aちゃんかぁ〜〜!!可愛い名前やね〜」
「えっ、そ、そうですか……!?」
「本当やって!まさか名前まで可愛いなんて思わなかっ……へぶっ!!」
私の名前を聞いた坂田さんは、さっきまでよりも、周りにお花が散ってしまいそうな満面の笑みで私の名前を何回も呼んでいた。
――かと思えば、また茶髪さんにしばかれていた。
さっきからの様子を見ている限り、この茶髪さんはツッコミ係なんだろうか。
「Aさんって言うんか。たしかに、綺麗な名前やねえ」
金髪のセンラさん(だったはず)までもが、そんなことを言いだす。
隣に座っている紫髪さんも横で、笑顔でうんうん、と頷いていた。
彼らのお世辞かもしれないけれど、自分の名前を褒められていると思うととても恥ずかしくて、体温が上がるのをなんとなく感じた。
「じゃあ、俺たちも自己紹介しといた方がいいよな。うらさん」
そんな言葉を言ったのは、紫髪さんだった。
未だに坂田さんの髪を掴んでいる、うらさん、とまた呼ばれた茶髪さんは「え?」と少し訝しげに言ったものの、
「……まあ、確かにそうだな。オレらもお嬢さんに――Aさんに自己紹介するぞ、お前ら」
「あっまたうらさんお嬢さんって言った〜!かっこつけ〜!!」と坂田さんがすかさず言い、今日何度目かわからない手刀を茶髪さんから喰らっていた。痛そうだ。
……このふたり、いつもこう言う感じなんだろうか。
と、ふたりのやり取りを見守っていたそのとき。
「ってことで――いつまでも立ち話もなんだし、Aちゃん、ここ座りな」
そう言って紫髪さんが、いつまでも立ったままの私の手を引いた。
必然的に私は紫髪さんの隣に座り込む形になり、体も密着する。
「えっちょっ、私は立ったままでも……!!」
「まあまあ、そう言わずに。長話になるかもしれんし」
まるで私を宥めるようににこにことしながらセンラさん(?)は言う。
もともと二人がけの席だからか、紫髪さんと自分の右肩がぴったりと密着して、心臓が跳ね上がっていた。
(ど、どうしてこうなった……!!)
ほぼ一人暮らしみたいな生活をしているせいか、男の人とこうやって近い距離にいることなんてほとんどない。
すぐ目の前には紫髪さんの男らしい端正な顔立ちがあって、私は軽く目眩のようなものすら覚えた。
「じゃあ、まずはリーダーの俺から」
――と、そんな私をよそに、茶髪さんが口を開いて。
彼ら四人の自己紹介が、始まった。
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作者名:黒崎クロエ | 作成日時:2019年1月12日 17時