デジャヴ ページ41
***
侑李「…っ。」
.
ずっと伝えたかった言葉。
“ありがとう”のたったの五文字。
だけど、私がその言葉を口にすると
何故か知念さんは顔を歪める。
.
「ちねん、さん…?」
.
その顔つきは、何故か辛そうなもの。
慌てて声をかけると、知念さんはぎゅっと目を瞑り。
.
侑李「…じゃあ、ファンレター。返ってきたことは?」
「うっ、ありません…」
.
何事もなかったかのように
鼻を小さくかみながらクスクス笑う。
.
侑李「あはは。時間作れたらちゃんと返します。」
「お願い、します…」
.
だけど、そんな知念さんの笑みは柔らかくて、
いつも心地がいい。
.
そういう雰囲気も、好きになった理由の
一つだって答えたら。
知念さんはまた“なんじゃそりゃ”って言いそう…
.
「HSJの皆さん、お待たせしましたー!」
.
その時、スタッフさんが呼びに来てくれて
私たちは廊下を出る。
.
時計を見れば、もうすぐ日付が変わる頃。
さっきもう一度一周したけど、特に問題はなさそうだったし
今日のところは大丈夫そう…
.
侑李「…ありがとうって言いたいのは、
僕の方だよ。」
「え…」
.
ふと知念さんが呟く。
だけど、その声はあまりにも小さくて
私は聞き返そうとして…
.
ガッ…!
「え…」
.
上の方で、何か大きな音がした。
まるでデジャヴのような、聞き覚えのある音。
.
私はその音の正体を探すために
不意に上を見上げて…
その時だった。
.
ガラガラッ…!
侑李「危ない!」
.
知念さんの声か、大きな音か。
同じくらいだったと思う。
.
「わっ…!」
.
ドンっと背中を押されて
後ろを振り返れば、優しげに微笑む知念さんの姿。
.
大貴「知念!?」
裕翔「ちねん!」
雄也「早く!」
.
メンバーさんが知念さんを呼ぶけど
知念さんがその場から動くことはない。
.
ただ、知念さんはゆっくりとそれを見上げ。
スローモーションのように口がゆっくり動いた…
.
“ありがとう”
.
「知念さん!」
.
時計は、0時を指していた。
11月30日になっていた…
***
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Ahr(プロフ) - 本当にめちゃくちゃ感動しました…！！素敵なお話ありがとうございます^ ^ (2022年7月5日 22時) (
レス) @page49 id: bfc2ddf8fe (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - まーさん» 初コメントありがとうございます!感動してくださってこちらこそ嬉しいです（；＿；）素敵なコメントありがとうございます! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - はるかさん» こちらこそ、今年もお付き合いいただきありがとうございます!来年、、時間作ればまた作らせていただきます( ´ ▽ ` )ﾉ (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - いくさん» こちらこそコメントありがとうございます \(( °ω° ))/ このお話で感動してくださったようで嬉しいです! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - 初コメント失礼します。描写が具体的で、すっごく引き込まれました！でも、最後に近づくにつれて涙が込み上げて来て、、、 面白かったし、めっちゃ泣きました！ほんとうに、良い作品、ありがとうございます！ (2021年12月3日 17時) (レス) @page45 id: 2c3bd810a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まりも
| 作成日時：2021年11月21日 7時
