時の番人 ページ4
***
よろよろと立ち上がり、辺りを見回す。
.
さっきまで動いてた人たちが
停止したみたいにピタリと動かなくなっていた。
それだけじゃない…
落ちてくるはずだった看板も、空中で止まっている…
.
「な、なんで…」
「時間を止めたからだよ。」
.
コツ…
一つ、足音が響いて振り返る。
.
話しかけてきたのは、マッシュパーマの髪型をした
さっきの男の人。
どういうことだと、半ば睨むように見上げると
首を傾げながら、その人は口を開く。
.
「さっき、きみの頭に看板が落ちてきそうになったでしょ?
だから時間を止めたの。」
「だから時間を止めたって、何言って…」
「だって俺、時の番人だもん。それくらい出来るし。」
「はい…?」
.
まるで会話が噛み合ってない。
言ってることが全く理解できなくて…
だけど、周りの人やモノが止まっているのも事実。
.
私はもう一度回りを見渡して、その人を見上げて。
だけどその人は、こんがらがってる私の顔を見て
ふふっと口角を上げる。
.
「…もし、過去を修正できるとしたら、
いつに戻りたい?」
「へ…」
「いつに戻りたい?」
.
また意図のわからない質問をされて
今度は私が首を傾げてしまう。
.
「じゃあ質問変えるね…
後悔してること、ない?」
.
思わせぶりに、私との距離を一歩詰めてくる男の人。
途端に、グッと近づく顔。
何かを押し殺しているかのような、低い声と
あまりにも真っ直ぐな二重の瞳。
.
後悔してること…
思い出すのは、知念さんが私を庇ってしまったこと。
私のせいで、知念さんが踊れなくなってしまったこと。
知念さんが、消えてしまったこと…
.
「10年前の、11月30日…」
.
口に出した途端、思い出してしまって
視線をふいっと逸らす。
.
「その日に戻って、私を庇ってくれた
憧れの人を助けたい…」
.
ポツリと無意識に溢れる。
するとその人は、逸らした私の視線の先に
ヒョイッと顔を覗かせ、またふわりと笑った。
.
「じゃあ…戻ってみる?」
***
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Ahr(プロフ) - 本当にめちゃくちゃ感動しました…！！素敵なお話ありがとうございます^ ^ (2022年7月5日 22時) (
レス) @page49 id: bfc2ddf8fe (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - まーさん» 初コメントありがとうございます!感動してくださってこちらこそ嬉しいです（；＿；）素敵なコメントありがとうございます! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - はるかさん» こちらこそ、今年もお付き合いいただきありがとうございます!来年、、時間作ればまた作らせていただきます( ´ ▽ ` )ﾉ (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - いくさん» こちらこそコメントありがとうございます \(( °ω° ))/ このお話で感動してくださったようで嬉しいです! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - 初コメント失礼します。描写が具体的で、すっごく引き込まれました！でも、最後に近づくにつれて涙が込み上げて来て、、、 面白かったし、めっちゃ泣きました！ほんとうに、良い作品、ありがとうございます！ (2021年12月3日 17時) (レス) @page45 id: 2c3bd810a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まりも
| 作成日時：2021年11月21日 7時
