半歩後ろ ページ26
***
靴音が静まる廊下へと微かに響く。
眩しいLEDライトの下、私は自分の一歩前を歩く
知念さんに、こっそりと視線を向けた。
.
「あの、ち、知念さん!」
侑李「ん?」
「さっきは、ありがとうございました。」
侑李「いいよ別に。」
.
一瞬だけ振り向いて、
またすぐに歩みを進める知念さん。
気にするなと、本気で言ってるみたいで。
.
さっき有岡さんたちに責められたとき、
知念さんが庇ってくれて嬉しかった。
嬉しかったけど…
ここのところ、ずっと疑問だった。
.
どうして知念さんはこんな私に
マネージャーをさせているのか…
どうして知念さんは私のことを
信用しているのだろうか…と。
.
私は、一般企業に勤めるただの社会人の一人であって
でも、知念さんはキラキラした世界で活躍する芸能人。
.
そんな私が、まだ知念さんの役にも立ってないというのに
どうしてあんなに庇ってくれるんだろう。
本当なら、私が知念さんを護らないといけないのに…
.
「逆に守られてる気がする…」
.
無意識に零れ落ちた、ちょっとした弱気の独り言。
それが聞こえてか、知念さんはピタリと立ち止まる。
.
「あ、すみません!気にしないでくださ…」
侑李「きみは…」
.
ふと、知念さんが口を開く。
.
きみは…に続く言葉。
きっと、慰めの言葉を言ってくれるんだと思っていた。
でも、小さな呟きはあまりにも予想していたものと違って
私の鼓膜を震わせた。
.
侑李「ちゃんと護ってくれたよ?」
「え…」
.
”護ってくれてる”じゃなくて、
“護ってくれた”
.
「あの、それって…」
侑李「早く帰ろ。お風呂入りたーい。」
.
何で過去形なのか分からなくて聞き返そうとするけど
知念さんはまた歩き始めて。
私は疑問を残したまま、
今度は半歩後ろに続いた。
***
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Ahr(プロフ) - 本当にめちゃくちゃ感動しました…!!素敵なお話ありがとうございます^ ^ (2022年7月5日 22時) (レス) @page49 id: bfc2ddf8fe (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - まーさん» 初コメントありがとうございます!感動してくださってこちらこそ嬉しいです(;_;)素敵なコメントありがとうございます! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - はるかさん» こちらこそ、今年もお付き合いいただきありがとうございます!来年、、時間作ればまた作らせていただきます( ´ ▽ ` )ノ (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - いくさん» こちらこそコメントありがとうございます \(( °ω° ))/ このお話で感動してくださったようで嬉しいです! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - 初コメント失礼します。描写が具体的で、すっごく引き込まれました!でも、最後に近づくにつれて涙が込み上げて来て、、、 面白かったし、めっちゃ泣きました!ほんとうに、良い作品、ありがとうございます! (2021年12月3日 17時) (レス) @page45 id: 2c3bd810a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2021年11月21日 7時