憧れ ページ14
***
「え?」
侑李「名前。
…いつまでも“きみ”って呼ぶわけにはいかないでしょう?」
.
あちぃ、ってタオルで汗を拭きながら
知念さんは小首を傾げる。
私は、知念さんの思いがけない発言に
何度も瞬きを繰り返した。
.
「な、名前って…」
侑李「うん?」
「知念さんが名前で呼んでくれるってことですか…?」
侑李「そう、だけど?」
.
何言ってんだ、って呆れたように
知念さんは冷たい目で私を見る。
でも今の私にしたら全く痛くも痒くもなくて、
パアッと目を輝かせていた。
.
侑李「え、なに…」
「う、嬉しいです!」
侑李「は?」
「だって、私ずっとファンで名前呼んでもらえるなんて…!」
侑李「いや、まだ呼んでないんだけど…」
.
興奮してる私に、更に呆れた…
いや、引いた顔で知念さんはため息を一つ。
.
侑李「それで、なんて呼べばいい?」
「あ、と…Aです!だから呼び方は…」
侑李「わかった。じゃあきみって呼ぶね。」
「え!?」
.
“A”じゃなくて、“きみ”…
名前を聞いといて、結局、“きみ”ですか…
.
私が気分を害した事に気づいたのか。
知念さんはクスクスと肩を揺らして、
人差しの指第二関節で鼻を触る。
.
侑李「思い付いたらそう呼ぶよ。
それより、練習再開するから曲かけてもらってもいい?」
「は、はい。」
.
もう一度曲を流して、知念さんは再び踊り出す。
それから、日付が変わる頃まで
ずっと踊り続けて。
.
「やっぱり凄いなぁ…」
.
ポツリと溢れ落ちる囁き。
.
私の名前を呼ばれることはなかったし
もう一度知念さんの耳に入ることはなかったけど…
今日は、今まで知らなかった知念さんの一面を
知れたから良かった。
.
「あぁっ!」
侑李「え、な、なに?!」
.
私の大声に盛大に肩を震わせて
ダンスを止める知念さん。
.
…いや、良かったじゃない。
全く良くない。
だって私、これっぽっちも知念さんを警護してないし
マネージャーとしての仕事も全くしてない…
***
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Ahr(プロフ) - 本当にめちゃくちゃ感動しました…!!素敵なお話ありがとうございます^ ^ (2022年7月5日 22時) (レス) @page49 id: bfc2ddf8fe (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - まーさん» 初コメントありがとうございます!感動してくださってこちらこそ嬉しいです(;_;)素敵なコメントありがとうございます! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - はるかさん» こちらこそ、今年もお付き合いいただきありがとうございます!来年、、時間作ればまた作らせていただきます( ´ ▽ ` )ノ (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - いくさん» こちらこそコメントありがとうございます \(( °ω° ))/ このお話で感動してくださったようで嬉しいです! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - 初コメント失礼します。描写が具体的で、すっごく引き込まれました!でも、最後に近づくにつれて涙が込み上げて来て、、、 面白かったし、めっちゃ泣きました!ほんとうに、良い作品、ありがとうございます! (2021年12月3日 17時) (レス) @page45 id: 2c3bd810a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2021年11月21日 7時