episode40 ページ40
『ひとつのボールからここまで話を進められたのは大きいよ。よく頑張ったね』
「君に褒めて貰いたくて意見を求めた訳じゃないんだけど」
『そう言わずに、素直に受け取っておいて』
画面越しに”偉い偉い”と頭を撫でるようなハンドジェスチャーをされたものだから、たまらず此方からもパチンと手を払い除ける素振りを見せた。
「それ以上子供扱いされるのも嫌だから、もう無視しても構わないかな」
『別に君のこと、子供扱いしたい訳じゃないよ。Aちゃんって呼ぶのももうやめたでしょ』
「分かった、その話はもういいよ……」
聞きたくない話が出てきたから、”とりあえず”と語気を強めた声を発して強引に話を切る。
「話を戻すと、一星充くんはクロと見て良い。でもやっぱり、やり方が気になる」
『襤褸が多すぎる、稚拙すぎるってこと？』
背後に大人がいる、という現時点で一星充くんは”スパイ”という立ち位置だと推測するのが自然なように感じる。
なのに一星充くんは選手としては優秀でも、残念ながらスパイとしては詰めが随分と甘い。
「ここまでスパイに不向きなあの子を送り込んで来た”大人”側もどうなんだろう。繋がりをこのような形で露見させてしまうなんて、スパイとして致命的だよ」
チームメイトに怪我を負わせることも含めたリスクの高い計画の一端を担わせるのには、あの子はあまりにも未熟に思えた。
”どう思う？”と問うと、悠馬は静かに目を伏せて考え込んだ後、言いづらそうな割にはハッキリとこう告げる。
『元々隠密に行動させる気はなかったのかもね。それなら、あの子にはこうしてスパイに選ばれるだけの素質がまだ隠されていることになる』
あの子がスパイとして選ばれた理由。
今の様子では、日本代表へと送り込んできた意味やメリットが見いだせない。それならまだ一星充くんには、何かが隠されているのだろうか。
「……悠馬」
『どうしたの、A』
「次の試合、スタメンなんだって。私も、一星充くんも」
鬼道先輩と別れて部屋に戻る時、廊下ですれ違った監督に呼び止められて次の試合はスタメン出場であることを言い渡された。
そしてその際に監督の口から、何故か一星充くんも同時に試合に出るということまで聞かされたのだった。
「試合と大会と一星充くん。目を向ける点は多いけれど、この3つを繋げば見えてくるものもあるのかな」
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契(プロフ) - 翡翠さん» 初めまして、第一幕を最後まで読んで頂きありがとうございます！ゆっくりスピンオフの方も進めていきたいですね、本編とは違った雰囲気の3人を書けたらなと思っています！コメントありがとうございました！ (2019年10月6日 8時) (
レス) id: be32126b2e (このIDを非表示/違反報告)
契(プロフ) - ういさん» 初めまして、第一幕に最後までお付き合い頂きありがとうございました！沢山ある作品の中で、ういさんの楽しみになれていることが作者としてとても嬉しい限りです。お気遣いまで本当にありがとうございます、引き続き更新頑張りますね！コメントありがとうございました！ (2019年10月6日 8時) (レス) id: be32126b2e (このIDを非表示/違反報告)
契(プロフ) - 裕大@受験生のため低浮上さん» 初めまして、最初から読んで頂きありがとうございます！テレビ電話越しや西蔭さん経由でもあの甘やかしようなので、日本代表合流後は更に！と書いている本人もドキドキしていたりします……！これからもお付き合い頂けたら嬉しいです！コメントありがとうございました！ (2019年10月6日 8時) (レス) id: be32126b2e (このIDを非表示/違反報告)
契(プロフ) - アオさん» アテナの羅針盤、響きがそっとお気に入りです。笑 第二幕では野坂さんと主人公の出会い、過去の関係、主人公の目が目覚めた過去に少しずつ触れられると思いますので、楽しんで頂けたら嬉しいです！ (2019年10月6日 8時) (レス) id: be32126b2e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 初めまして！とっても楽しく読ませて貰っています！王帝月載宮スピンオフ楽しみにしてます！ (2019年10月6日 0時) (レス) id: 0bbffb7c2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：契 | 作成日時：2019年8月16日 12時
