7.涙の帰り道 ページ8
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……帰りは、1人だった。
「なんで……なんで、皆……」
続く言葉は、怖くて言えなかった。
認めたくなかった。
寂しくて、悲しくて、悔しくて、涙が溢れて止まらない。こんなにも涙が出てきたのはいつ以来だろうか。覚えていないし、あの時の事はあまり思い出したくもないけれど。
道行く人が泣いている私を見て振り返るけど、誰も声をかけてこない。心配するのではなくただ奇異の目で見るだけなら振り向くのもやめてほしいし、そもそも知らない人に声をかけられるとか、逆に怖い。
どうせ声をかけるんだったら……
中学時代、まだ楽しかった頃が脳裏に蘇る。
あの頃は教室で、友達と一緒に楽しく騒いでいられた。休み時間も、お昼も、帰りだって一緒だった。辛いときは一緒に悩んで、嬉しいときは一緒に喜んだ。なのに。
確かに、クラスが離れてからは“彼ら”と会うことは減ったし、それも去年の夏が終わる頃にはほとんど無くなっていた。だから私は、彼らの声も雰囲気も、きっとすっかり忘れていた。彼らだって、きっと同じなのだろう。髪だって切った。眼鏡も変えた。かなり雰囲気を変えたから、わからなくても仕方ないのかもしれない。
そもそも逃げ出した私に、彼らと再び会う資格など無いのかもしれない。この結果は自業自得、因果応報なのかもしれない、のだけれど。
でも、今日、弓道場で私の目の前にいた人は、間違いなく“彼ら”本人だったんだ。
──ああ、“彼ら”に悪意は無いはずなのに。
ねえ、なんで、どうして?
私の選択は、間違ってたの……?
自分ですらわからない問いかけに、答える人なんて誰もいなかった。
ーーーー
「おはよ、梨可」
「あ、A。……って、どうしたの……?」
首を傾げると、梨可は自分の目の上をとんとん、と指で叩く。
……あ。
昨日泣いたから、目が腫れてたんだった。
「あー、実は録画したドキュメンタリー観て泣いちゃってさ〜」
梨可には申し訳ないけど、“彼ら”の沽券のためにも、本当のことは言えない。代わりに、一昨日観たテレビの内容を話す。
「どんな話?」
「ええっと、一昨日の7時半からの『ヒグマの子育て奮闘記』なんだけど、それがね……」
嘘、ついてごめんなさい。
私が嘘ついてるって、バレてないだろうか。
「本当に……野生の厳しさというか、自然の厳しさみたいな感じだね」
「そうなの、もうすっごい悲しくなっちゃって。ていうか、人間でもこういう話あるよね。虐待とかさ」
「うん。ひどい話だよね」
と、ここで先生が来て、会話は打ち切りとなった。
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今日の弓道男子
如月七緒
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Mashiro Lio(プロフ) - そうなんですね!私はこの間友達に相談したら、「いっそのこと全員分書いちゃえ!」って言われました笑笑 (2019年4月13日 17時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
芋ケッピー(プロフ) - 誰を落ちにするかは、私も悩みに悩みましてアンケートにて決まりました笑 (2019年4月12日 23時) (レス) id: 1297cf1d5a (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - ありがとうございます!実は誰落ちか未定&すごく長くなりそうな予感しかしないので少し不安(笑)なのですが、そう言っていただけるととても励みになります!ご期待に添えるよう精一杯頑張ります! (2019年4月7日 10時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
芋ケッピー(プロフ) - 続きが気になります!湊くん、静弥くん、愁くんとの関係性もまたまた気になります!更新楽しみにしています^_^ (2019年4月7日 8時) (レス) id: 1297cf1d5a (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - メイリさん» ありがとうございます!こうやって小説上げるのは初めてなので至らない所もあるかとは思いますが、ちょっとずつ頑張っていこうと思います! (2019年4月2日 7時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mashiro Lio | 作者ホームページ:http
作成日時:2019年3月4日 22時