【ツルネ】ハバタケ 〜The Lost Memory〜

15.優しい人達 ページ16

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｢Aさん!?｣

｢Aちゃん！｣


乃愛ちゃんとゆうちゃんが、駆け寄ってくる。


｢瀬戸名……？｣

｢瀬戸名さん大丈夫!?｣


鳴宮くんと山之内くんも、彼らにとって見ず知らずの私を心配してくれる。
そうだ……皆、優しい人なのだ。……だからこそ、その優しさに甘えてちゃいけない。


少し遠くからは、如月くんと竹早くんのお説教が聞こえる。


──お願い、やめて。

もう誰も、怒らないで。




顔を上げると、少しふらつきながらも立ち上がる。


｢皆、心配かけてごめんなさい。私は大丈夫。ただ大きな音に敏感なだけだから。
小野木くんも、迷惑かけてごめんなさい｣


怖くなるの。
誰かが、誰かを責めるのを聞くと。


すると、小野木くんが少し慌てたような声になる。


｢なっ、いや……お、俺が大声出してあんたを驚かせたから、その……悪かったよ｣


──ああ。
きっと、素直に謝れる小野木くんは、良い人だ。


｢ううん、小野木くんは悪くないよ。私が──｣



ガラガラッ


｢おー、皆やっておるかのう｣

｢｢トミー先生!?｣｣


森岡先生は、1カ所に集まってた私達を見て目を丸くする。


｢おや、内緒話でもしておったかの。これは失敬｣

｢い、いえいえ、大丈夫です！ 今、終わったとこなので！｣


私は、笑顔を貼り付けて、何も無かった風を装う。
そこから1拍おいて、私は、さっき心に決めたことを口にした。



｢先生！ 私、弓道部に入ります！ 皆と一緒に部活やりたいです！｣

｢｢｢……やったぁっ!!｣｣｣


ゆうちゃん、山之内くん、如月くんの声が重なる。



──えっ、大声出すこと!?



｢Aちゃんの話を妹尾に聞いてから、仲良くなりたいな〜！って思ってたんだ！｣

｢ええ。Aさんとは、ぜひいつかお話してみたいと思っていましたの｣

｢おれもおれも！ 天才なんだって？ 面白い話、聞きたい！｣

｢Aちゃんと弓道なんて、テンション上がるっしょ！｣




｢お、おう……｣


皆がめちゃくちゃ楽しみにしててくれてたのは、嬉しい。けど、本当に私でいいのだろうか。

……いったいどんな話をしたんだ、梨可。



ぜっっったい、後から聞き出してやろう。
今は、それよりも。


｢と、ところで先生……｣

｢何じゃ？｣

｢あの、い、いいいイニシャルコストって……どのくらい、ですか……？｣


最後まで言えた。言えたよ、大事なこと……。


｢いにしゃるこすと……？｣


後ろから山之内くんのハテナに満ちた声がした。
あ、これ絶対わかってないやつだ。


｢イニシャルコストは、初期投資に必要なお金のことだよ｣

16.決心VSコスト→←14.恐怖心

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

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あずきいろ

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おみくじ結果は「末凶」でした！

今日の弓道男子

如月七緒

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