さよなら、Iris【あんスタ】

124.あのプロレスラーみたいなやつ by A / 私の作戦 with【DDD】 ページ29

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私達2人は今年度だけ、便宜上プロデュース科とアイドル科の両方に登録される。何せ、2人しかいないのだ。当然、既存のアイドル科と纏めた方が手続きが楽になる。
だから、出場権は無い訳ではない。

そこを突いて、生徒会の書類マジックを少し駆使した。佐賀美先生にも、協力を仰いだ。

たぶん今こそ、煩雑な手続きの際に後回しにされた『プロデュース科』のぼんやりした立場が、活きるべき時なのだ。




守沢先輩に背中を叩かれてつんのめった明星くんを、あんずは抱き締め、受け止める。

アニメやドラマだったら……いや、今、目の前に広がるこれこそが、主役達の感動シーンなのだろう。





そんな2人(主役ら)を私は、遠く離れた入り口付近(脇役の位置)から、見ていることしか、できなかった。




〜〜〜〜




｢ていうかあんず、覆面ってまさか……あのプロレスラーみたいなの買おうとしてないでしょうね？ やめなよ、合わないから！ アイドルだと絶対ダっサいから！｣

｢うっ………｣


……そうだったのか。
びしりと指を指され、私は言葉に詰まる。


｢あと、あんた私と同じでピンク好きだから、ピンク買いそう。駄目、絶対にアウト！『私は女です〜』って言ってるようなもんだからね！｣

｢うぐっ……｣


そこには気付いてなかった。
痛い所を突かれて、私は黙り込む。


｢つーか、もう私が作るわ。赤青2色ならいけるいける。鬼龍先輩に生地ちょっと融通してもらえば余裕｣

｢え、Aもピンク好きなの？｣

｢ピンクってか、パステルカラーな。……つーか、時間差｣


えーっとこの子、声は可愛いのに口調は男性みたいで、でも発言は可愛くて、ギャップが……。


とはいえ早速、また怒られてしまった。



……やっぱり前途、多難かなぁ。




〜〜〜〜



それから私は、明星くん達のレッスンを見つつ、当日のステージ進行と、集客の方策を考えた。


ま〜くんは帰ってくる条件が、ある程度定まった。それに、蓮巳先輩は話のわかる人だ。安心していいだろう。
問題は『fine』に取り込まれた氷鷹くんと、頑として教室にすら来ない、遊木くんだった。


彼らが戻ってくるタイミングや確率、奪還作戦まで考えた上で複数の構成を考案し、何度か再考と修正を繰り返す。その後、協力者である先輩方に意見を聞いて再度修正し、2人に伝達。

しかも他のユニットの所でも似たような事やってるから、スケジュールが結構厳しい。



さて。

『S1』以降、何も考えずにあんずを取り巻く人達から、今日も仕事をもぎ取りますか。

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