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005:instagram CM ページ6

「チャンミン、インスタ開いてみて」
「…なんで」
「何ででも」




遥ヌナは

想像以上に姉貴肌だった。

僕も結構気に入ってるけど

婚約者のユノヒョンはもっと気に入ってるみたいだ。





もうすぐ長いツアーが始まる。

それが終わると、春に

ユノヒョンと遥ヌナは結婚する。

もちろん僕は祝福してるけど

2人は僕のために延期しようとも考えているみたいで

心が痛い。





消えてしまったA。

あの日 警察に相談すると言った僕を止めたのは

もちろん 事務所だった。

Aは飛行機に乗って韓国へ来ている

その事実に 僕の元からただ逃げ出しただけなのではないか

それが事務所の見解だった。





あまりに空虚な時間。

Aが可愛がっていたジョセフだって

寂しそうな目が板についてしまった。





「これ、見て」
「…何」





結局自分のスマホでインスタを見始めたヌナ。

僕に一枚の写真を見せた。

それは何気ない写真だった。

キャンドルの明かりに照らされるガラス窓

それを流れる雨粒を撮影しただけの

他愛もない写真だ。





「これが一体どうしたの」
「ほら、よく見て」





ヌナは無造作にその写真をズームした。

すると ガラス窓にこの写真を撮ったであろう人が

ぼんやりと映り込んでいた。





「まさか、これがAだとでも?」
「…」
「気持ちはありがたいけど、それはあまりに無理矢理だよヌナ」
「チャンミン、気付かないの?」
「え…」
「ここ、見て」





ヌナがズームしたのは

ぼんやりと映り込む女性ではなく

手前に写り込んでいる 鍵

正確には キーホルダーだった。





「あ、これ」
「ユノ、分かったでしょ」
「うん…チャンミン、多分これ間違いなくAだよ」





確かにそこには

僕が持つキーホルダーと同じものが映っている。






「チャンミン、アナタがあの家を完成させた時私たちが送ったキーホルダー」
「それが…何?いくら2人がプレゼントしてくれたからって同じものを持っている人なんて山ほど…」
「あれ、特注なの」
「え」
「だから世界中でそれを持っているのは…アナタとAちゃんだけ」





そして写真に添えられた言葉を見て

確実に心臓が一瞬止まった気がした。





All of me.





Aは

どういう思いで

今、この瞬間を生きているのだろうか。

本当に僕の元から逃げたかっただけなのだろうか…

答えを知ることが

果たして正解なのか

僕には 分からない。

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作成日時:2017年5月20日 0時

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