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044:本当の理由 YH ページ45

「俺にはチャンミンの考えがイマイチ理解できないよ」
「そう…?」
「遥は分かるの?」
「どうだろ…でもきっとAちゃんの事だけ考えて決断したんじゃないと思う」
「どういう意味?」
「そこまではわかんないよ」
「遥、来月から大丈夫?」
「え…」
「強がりだから心配」
「強がりなんて」
「強がりだろ」





遥のトラウマは

俺たちが結婚式を挙げる当日まで

きっと解消されないだろう。

俺は そう理解している。

このタイミングで3か月も家を空ける事

俺たちにとっては

最大の山場になるだろう。





「俺の方が心配だな」
「そんな事ないでしょ」
「分ってないな〜」





Aとチャンミンには

正直同情してるぐらいの俺だけど

言葉にはしないだけで

遥のトラウマは別の意味で根深い。

もし自分が…

そう思うっても想像が追い付かないぐらいだ。





「あいつら旅行行くんだって」
「ふーん」
「俺たちも行く?」
「お店あるもん、無理だよ」
「…そっか」
「ユノ、私は大丈夫だよ」
「そう…?」
「うん、大丈夫」





しかも

日本人特有の[見せない]という性質が

さらに俺を不安にさせるからどうしようもない。





無事に結婚式を挙げて

Aの記憶も戻って

全部が丸く収まればいい。

ただ心からそう祈るばかりだ。





「チャンミンがAちゃんを自分のスタイリストにしなかったのは」
「…」
「第一に、Aちゃんに仕事を取り戻してあげる事だろうけど」
「…」
「ジュネくんのためだったり、ユノと私のためでもあるのかもよ?」
「俺たちのため?」
「もし自分のスタイリストにするなら…3か月の間私一人になるもの」
「あ…」
「なーんて。すべてはAちゃんを想う彼の考えよ」





遥は笑ってたけど

俺はチャンミンに真実を聞いてみたかった。





『何ですか、こんな夜中に』
「本当はどういう理由がある?」
『…何が?』
「Aをジュネのスタイリストにした事」
『…まったく』
「何だよ」
『これだから単純な作りのヒョンを持つと苦労します』
「…」
『僕たち全員のためですよ』
「…」
『ヒョン、ヌナの心の傷を埋めるのは必ずしもヒョンだけじゃないんです』
「…」
『結婚式当日までの3か月、ヌナを一人にしていいわけないじゃないですか』
「…」
『明日早いんです。僕はもう寝ます』





泣きそうになったけど

ぐっと堪えて

先に眠ってしまった遥を抱きしめた。

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作成日時:2017年5月20日 0時

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