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033:私の歩いてきた道 ページ34

2008年から付き合っていたという事実に

心底驚いてしまった。

先にジョセフを抱っこして下に行ったチャンミンさん。

彼の足音を確認して

私はまたスマホの画面をスクロールした。





「確かにこのフォルダは2012年から…あれ、このフォルダは?」




別のファイルを開くと

ウェディングドレスを着た自分の写真が大量に出て来て

さっき以上にビックリした。





「誰…この人」





知らない人がドレスを着た私の隣で笑っている。

彼は日本人だろうか…

少し年上にも見える。

そのフォルダは2012年以降更新されていない。

まるで何かに背中を押されるように

いつのまにかメールも開いていた。






ーRe:Re:Re:Re:Re:Re:Re:僕には

いつも届いていたよ。
すぐに返事ができなくても、ちゃんと伝わっていた。
Aさん、ちゃんと幸せになってください。
どうか、僕という人間のせいで 陰を作らないで。
僕が全部覚えておくから Aさんは僕の事全部忘れて
誰よりも 幸せになって。

Aさん、ありがとう。ー






「これは……」





すぐには理解できないような文面。

でも全体から伝わる気持ちが

あまりにも切ない。

皮肉な事に

今の私は本当にチャンミンさんの事を全部忘れているのだから。





私たちの歴史を

彼は全部話してくれるだろうか。

彼自身思い出したくない過去があるとしたら

彼の傷を抉る事になるかもしれない。





「A、どうした?」
「ユノさん…私…」
「A…?」





こんなにも悲しいメールを打たせてしまったのは

紛れもない私なのだ。





「何見てる?」
「…」
「あ…」
「…私とチャンミンさんが婚約してるというのは…本当ですか」
「…どうして」
「だって…こんな…」
「2人は2010年に別れて…2012年に再会したんだよ」
「…」
「チャンミンは昔Aの心に傷を作って別れた」
「傷……?」
「だから、再会した時Aはチャンミンを受け入れなかった」
「…」
「他に婚約者もいた」





さっきのドレス姿の自分が蘇る。

だったら私はどうしてまた 彼を選んだのだろう。





「だけど2人の気持ちは変わってなかった」
「え…」
「だからAはチャンミンの元に戻ったんだよ」





頭の奥がズキズキと悲鳴を上げて

意識が霞みそうになる。

ユノさんが背中を摩ってくれているうちに

波が引くように痛みも薄れた。

もう 何も考えられないと思いながら

私は スマホの電源を落とした。

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作成日時:2017年5月20日 0時

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