All of me. (ページ30)

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029:お迎えページ30

「ｵﾝﾆ…？」
「はい、ｵﾝﾆって呼んでいいですか？」
「…うん、はい」
「私嬉しいんです、お姉ちゃんできたみたいで」
「…そっか…でも何だかすみません」
「え」
「私のせいで、色々手伝ってもらって…」
「いえいえ、私案外こういう仕事向いてるかもです」
「そっか…」
「もともとお掃除もお料理も大好きだし、こーんな綺麗な場所が職場なんて嬉しいです」
「職場…」
「あは…職場っておかしいですね」

ｿﾕﾝとはすぐに仲良くなれた。

彼女はとても控えめで、だけどしっかりしていて

ｼﾞｭﾈとのやり取りを見ていると

彼女なりに少しだけ気が強い一面もあって

とにかく魅力的である事に間違いない。

「それで、ｵﾝﾆとｵｯﾊﾟがもじもじしている間にｷｭﾋｮﾝｵｯﾊﾟという人からｵｯﾊﾟを紹介されて」
「うん」
「私が福岡の話ばかりするからｵｯﾊﾟがすっかり私の事気に入って。会うたびに福岡の話で」
「そ、そうなんだ」
「誤解しないでください、私ﾌﾗれたんですよ。でもその前にｵｯﾊﾟは福岡に愛してる人がいるって事ﾊﾞﾚﾊﾞﾚでしたから。手さえ繋いだこともないです」
「…本当に？」
「本当です。私はまるでおじいちゃんの話し相手みたいな」
「あは…おじいちゃん」
「内緒ですよ？」

どんな子が好きなのって聞いたら

年上で雰囲気を持っている人が好きですって

爽やかに答えが返ってきた。

彼女と過ごす3日間はあっという間に過ぎて

また来週来ますね。

ﾁｬﾝﾐﾝさんが帰国する日の朝に彼女は帰って行った。

「Aちゃん…会いたかった」
「あ…」

入れ違いでここを訪ねてきたのは

遥さんﾕﾉさんの婚約者だった。

彼女は私の顔を見てすぐに涙を流した。

すぐに見つけてあげられなくてごめんね

そう言って私を抱きしめるから

私も少しだけ泣いてしまった。

「今日はAちゃんおかえりﾊﾟｰﾃｨｰだよ」
「そうなんですか…」
「ｵｰﾅｰも奥さんも気合い入れて料理作ってくれてるから早く行こう」
「あ…ｼﾞｮｾﾌも？」
「もちろん、ｼﾞｮｾﾌも一緒に」

彼女の車に乗って

流れる景色をずっと眺めている。

ﾁｬﾝﾐﾝさんの家から東側に15分ぐらい走ったところで

大きな山が見えた。

その向こうには海も広がる

何となく不思議な光景だった。