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027:誰? JN ページ28

仕事まで時間がある。

俺は自然とチャンミンさんの自宅へ向かっていた。

Aは起きたかな?

これからしばらくツアーで家を空けるから

時間がある時相手してやってよ。

ユノさんもチャンミンさんも

そう言って もちろん俺も全然嫌な気もしなくて。

まるで自分の姉ちゃんに会いに行くみたいだ。





大きな玄関のインターホンを押したら

謎の女が訝し気な顔で出て来た。





「どちら様ですか?」
「…だ、誰?」





俺より少し年上というところだな。

顔は…うん、まぁ可愛い。

スタイルも合格。

だけど 俺を知らないという部分でマイナス10点だな。





「どちら様ですか?」
「あ、Aいますか」
「は?」
「あの俺…知り合いなんですけど」
「…」
「いや、本当に。それにユノさんにもチャンミンさんにも会いに行ってやってくれって」
「…」
「…ジュネです」
「最初からそう言ってください。名前は聞いてます」
「スミマセン…」





気が強いのか

ただの真面目ちゃんなのか分からないけど

とにかく 機嫌を損ねてしまったのか

フイっとそっぽを向いて

入りなさいよとでも言うように

横目で俺を見る。





「あの、俺はジュネだけど」
「は?」
「キミは?」
「…必要ありますか?」
「は?」
「…ソユンです」
「最初から言えばいいじゃん」





廊下の向こうで小さなジョセフが俺に気付いた。

ニカっと口を開いて 全速力で走ってくる。

まるで感動の再会だな。

手を広げてしゃがみこんだら

手前でソユンという女にスッと抱きかかえられて

ジョセフは満足げに尻尾をパタつかせた。





「Aさん、お客様ですよ」
「え…」





Aはリビングの大きなソファーの上で

雑誌を読んでいた。

丸い眼鏡の奥

不思議そうな顔で俺をじっと見ている。





「彼はジュネさん、Aさんを空港で助けてくれた人ですよ」
「あ…そうなんですか…」





そういえば Aが前言ってた。

記憶が戻ると、記憶を失くしてい間の記憶も消えてしまうかもしれないって。

だったら今の俺の事は忘れているとしても

本格的に記憶を戻したら

また俺は記憶から抹消されてしまうわけだ。





「おばさん、散歩行こうぜー」
「え」





結局忘れられる運命にある俺を思うと

憐れで滑稽だった。





「おばさんのハリー、予想以上にすごい人だったね」
「…ハリー?」





でも、別にいい。

また忘れられても

また 出逢えばいいから。

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作成日時:2017年5月20日 0時

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