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002:神隠し YH ページ3

「ヒョン、スマホ忘れてるって」
「あ」
「…いくつになったら忘れ物なくなるんでしょうね」





憎まれ口に覇気がない。

この3か月あまり

チャンミンは仕事を熟すので精一杯だ。

事務所は事情を知っているし

Aを探してくれてもいる。

だけど 仕事は仕事だった。





あの日

Aは俺への土産を買うために

チャンミンの傍を離れた。

Aが戻る前に、チャンミンは妹の土産を買うために席を離れた。

二人は直前まで電話で話していたらしい。

先にAは席に戻っていたのか

俺が好きな福岡のお菓子とAのスマホが置き去りにされていた。

チャンミンの精神的ダメージは大きい。

Aを探して走り回っている間

乗るはずだった飛行機はチャンミンを置き去りにしたけど

搭乗記録にAの名前が記されてあったと聞いた時

背筋が凍るほど怖くなった。





一体何が起こったというのか

Aは確かにこの国へ来て そして姿を消したのだ。





俺も遥も、そしてチャンミンも

あらゆる可能性を考えて

連日Aが行きそうな場所を探している。

足で探す余裕が持てない俺たちは

仕事が終わると PCの前張り付いて

ひたすらAに繋がるカケラ探しをしている。





「今日ピザだって」
「さっきヌナに聞きました」
「何とかツアー前には…見つかってほしいな」
「…」





Aに何があったのか分からない。

でも 少なくともチャンミンは

一生をかけてでも彼女を探し続けるだろう。

それが解っているから

俺は尚更辛くなる。

何か事件に巻き込まれているとは思えない。

だからと言って Aの意図でチャンミンの傍を離れたとも思えない。





-結局

俺たちは 先の見えないトンネルの中

じっと佇んでいるしかなかった。

003:何も思い出せない。→←001:チャンミン (Haruka)



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作成日時:2017年5月20日 0時

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