All of me. (ページ20)

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019:記憶　CM ページ20

「…………いなくなってる」
「え…」
「ﾏｼﾞか」

無理言って連れてきてもらったｼﾞｭﾈの家。

確かに人の気配は残っているけれど

そこには誰もいなかった。

「あ…手紙」

その手紙が挟まっていたのは

ﾃｰﾌﾞﾙの上の雑誌。

そのページは、ｼﾞｭﾈたちのｸﾞﾙｰﾌﾟの特集だった。

「Aはｷﾐの正体を知ったんだな」
「…雑誌とか普段読んでなかったのに」
「Aは元ｽﾀｲﾘｽﾄです。毎日雑誌を山のように読む習慣があった」
「ｽﾀｲﾘｽﾄ…やっぱり…」
「きっと本人も無意識に雑誌を買ったんだろう」

ーｼﾞｭﾈへ

ｼﾞｭﾈの正体、びっくりしたよ。
散々お世話になったのに
目を見てお礼が言えなくてごめん。
でも、助けてくれてありがとう。
ｱﾅﾀは私の命の恩人です。
これからは遠くで応援しています。

さよなら、ｼﾞｭﾈ。

おばさんよりー

「おばさん…!」

ｼﾞｭﾈは青ざめた顔で部屋を飛び出した。

慌てて追いかけるけど

体力のない僕は

すぐに息が切れてしまった。

「お前はここにいろ」

ﾕﾉﾋｮﾝがｼﾞｭﾈを追いかけて

坂道の下で

おばさんおばさんと叫ぶｼﾞｭﾈを捕まえた。

ｼﾞｭﾈは取り乱していた。

これは恋愛感情なのだろうか。

僕はそんな事を考えていたけど

それは僕の浅はかな思い違いだとすぐに分かった。

「医者に言われてんだ!過剰に無理したら脳がおかしな事になるかもしれないって!」
「ｼﾞｭﾈ落ち着け」
「これ見てよ!俺たちの特集ページの前…ﾁｬﾝﾐﾝさんのﾍﾟｰｼﾞなんだよ!」
「あ、ﾎﾝﾄだ」
「もしかしたらおばさんはそれを見て…!」
「大丈夫だ、落ち着け」

まるで子供をあやすように

ﾕﾉﾋｮﾝがｼﾞｭﾈの背中を摩る。

僕は何をしてるんだ。

自分が腹立たしくて仕方なかった。

「あ…」

ふと視線の先に

あのｶﾌｪが見えた。

「ﾁｬﾝﾐﾝどこ行く？」
「ﾋｮﾝ、あそこに行こう」

まるで導かれるように

足がそのｶﾌｪに向かって歩きだす。

ｱﾝﾃｨｰｸ調の扉を開くと

奥の席で

人の声が聴こえた。

「あの人がどんなに俺たちの中を割こうとしても」
「…」
「きっと永遠に無理なんだ」
「…頭が…」
「A?!」
「たすけて…っ…」
「おい!しっかりしろ!!」

「…ﾁｬﾝﾐﾝ」

その男の腕の中

目を閉じる間際

彼女は微かに

でも、はっきりと僕の名前を呼んだ。