好きじゃないよ、絶対 (ページ8)

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「西野ちゃんさ、浮気されたって言ってるあの人に浮気してない！って言った？」

流行りのタピオカをチューっと吸いながら可愛く聞かれる。

『言ったのは言ったけど、なんか多分理解はしてないよね。』

だって寝不足だって言ったら浮気って言われたんだもん。
寝不足の原因、あんたからの着信だよなんて言えないし。

そう言うと面倒だねと眉を下げて可愛らしいパンケーキを口に入れた。

可愛い子は甘いものが好きなのか。
甘いものを食べると胃がもたれる私はレタスとかトマトが巻かれたクレープを食べていた。
イチゴとかチョコなら食べられるんだけど生クリームはどうも胃が受け付けてくれない。
甘い系は全て生クリームが採用されており、可愛いパンケーキを友達と食す夢はあっけなく消えたのだった。

ふと外を見れば檜山くんが1人で歩いているのを見つけた。
学校の近くの喫茶店なのだから下校中の生徒がいるのも当たり前だ。
話しかけるなと言われた以上、こちらから話しかけることはせずに見るだけにした。

川谷ちゃんは可愛く可愛くパンケーキを頬張りタピオカを吸い込んでいた。

『え、てかさてかさ、川谷ちゃん彼氏は？』
「いるよ？」
『え？』
「え？」

まさかの話。
川谷ちゃん、彼氏いた。

「中学卒業の時からだからつい最近だよ。」
『同じ高校？』
「スポーツ学校だから会ったことないと思う。」

お互いに好きだったから付き合った。
そんな話を聞くと自分がいかにバカだったかを思い知らされた。
好きじゃないのに付き合って、浮気を疑われたあとフラれて、浮気だと言いふらされて。
バラエティーに富んでいる気がする。
彼女が少女漫画の恋なら私は大人の女が読む漫画の恋のような気がする。
全く上手くいっていない恋愛。
最初でこける恋愛。
文字にすると面白いな。

後から聞いたところ、タピオカの流行はちょっと前だったらしい。
華の女子高生、諦めるな。