【第2章】この世を色で染め上げて【リレー小説】

絵師としての仕事【みさと】 ページ36

絵師試験に合格した私には、瞬く間に仕事の依頼が来た。

妙にスッキリしたせいか、筆がいつもよりよく動く。

まるで私の指先のように。

白い絵の具で出来ることも沢山あったけれど、
依頼人の感情の色を使って描くと、よく馴染んだ。

「ありがとう」
私が筆を振ると、依頼人がお礼を口にする。

そう、私が求めてたのは、これ

楽しいと思った。

「人に寄り添える絵師」
なりたいものに、一歩近付いた気がした。

最も評価された絵は、
私が描いた白い薔薇だった。

フランスでは、天使のような絵師がいると、
ナシロ・イロハという名前は広がった。

悲しみを抱えて押し潰されそうな人には、
その悲しみの色で薔薇を描いた。
少しでも軽くなるように。

幸せに満ち溢れている人には、
淡い桃色、幸せの色を使って小さな星を描いた。

悲しみも怒りも喜びも
全部包み込めるような絵を、この筆で描いてきた。

大きな激しい怒りを乗り越えて、
ナシロ・イロハという、私は
成長したと思う。

でも、頭の中にはずっと雨月さんの顔が浮かぶ。
どうしてなのか、この気持ちを私は知らなかったけれど





多分









これは恋

未来の神絵師の象徴【みさと】→←告白【蓮@雫3318】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す