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因縁の。【天秋】 ページ34

「ナミノ・・・さん。イロハさん・・・は?」



やっとのことでたどり着いたナミノの家で、雨月さんが最初に絞り出した言葉はそれだった。






ナミノは答えず、ただ意味深な雰囲気を醸し出すばかり。




「…ナミノ、恩にきる。


それから…少し休ませてもらってもいいか?

代償はそれなりに用意した。」



ナミノにひょいと紅茶の茶葉を渡して、返答を待つ。




「ええで。ワイも灰色のあんちゃんと話したい思うとったし。」




その言葉を聞いて、わたしは奥の部屋のベッドに倒れ込んだ。




「包帯、変えないとなぁ…」




乾いていた包帯は、血の匂いと共にぐっしょりと湿っていた。











ーーーーーーーーーーーーーーーー

ある街には、赤い物がひとつも無かった。



花も、家の壁も、家具にさえ、赤色が使われていない。



そんな中で、アキは絵師になっていた。




『お母さん、どうして絵を描いちゃいけないの?

わたし、見習い絵師になったんだよ!』



『ダメなものはダメなの!


あなたはまだ5歳。その色を間違って使っちゃあいけないでしょう?』



『間違わないよ!

ちゃんと試験も受けた。


そこで何をしてよくて、何をしちゃダメなのかちゃんと教えてもらったから!』




ぱんっと乾いた音が響いた。




頬の痛みに、アキの瞳から涙がこぼれる。



『お母さ…『五月蠅い!』っ…』



『あんたは“赤の呪い子”なの!


その色で絵を描いたら、わたしまで忌み嫌われる!


そんなに絵を描きたいなら、出ていきな!』





母の剣幕に驚いて、アキは家を飛び出した。





その手には、ルビーが埋め込まれた色彩の筆。








『おい、呪い子だ…』





『皆家へ入れ!』






誰もいなくなった路地を、アキはいつも一人で歩いていた。

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?胡桃_美咲翔?(プロフ) - 作りました!!パスワードは同じです!! (2020年3月23日 16時) (レス) id: 18eae7edc1 (このIDを非表示/違反報告)
天秋(プロフ) - ?胡桃_美咲翔?さん» ふあいとー! (2020年3月23日 16時) (レス) id: f69f9f0f1e (このIDを非表示/違反報告)
?胡桃_美咲翔?(プロフ) - ちょ、おけおけ、作るからまっててw (2020年3月23日 16時) (レス) id: 18eae7edc1 (このIDを非表示/違反報告)
蓮@雫3318(プロフ) - ?胡桃_美咲翔?さん» さぁてくるっちゃん…続編のお時間だぁ! (2020年3月23日 16時) (レス) id: 57a1a02777 (このIDを非表示/違反報告)
蓮@雫3318(プロフ) - 天秋さん» そゆことかな。 (2020年3月23日 16時) (レス) id: 57a1a02777 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:胡桃美咲翔 x他3人 | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2020年3月21日 10時

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