WHITE WORLD【Ryohei.A】

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Side阿部


急に止まったエレベーター。

え、なになに？故障？


そう思って緊急時のボタンを押そうとしたら

後ろから苦しそうな呼吸が聞こえた。


もちろんその声の主は1人しかいない。


阿部「雪ちゃん！大丈夫！？」


俺はそっと雪ちゃんの背中に手を回した。

そして、スマホで明かりをつけた。

これ、過呼吸だよね。


阿部「雪ちゃん。俺の目見れる？」


そう言うと苦しそうに俺の方を見た。


阿部「そう。で俺の真似して？

すー、はー、すー、はー」


雪ちゃんは頑張って俺の真似をしようとしてくれてる。


A「すっ、はぁっ、す、はぁっっ」


阿部「そうそう。できてるできてる」


しばらくして呼吸も落ち着いて

疲れたのかクタっと俺の方に体重をかけてきた雪ちゃん。


阿部「雪ちゃん？」


意識を失ってるみたいだった。


俺は雪ちゃんを抱きかかえて非常時のボタンを押して

状況の説明をした。

どうやら復旧にはもうしばらく時間がかかるみたいだ。





閉じ込められてしばらくして俺のスマホが鳴った。


かけてきたのは照だった。


阿部「もしもし照？」


岩本『あ、阿部？もしかして今エレベーターの中？』


あ、そういえば照は打ち合わせで残ってたっけ。


阿部「あ、うん。でもなんで？」


岩本『帰ろうとしたらエレベーター故障しててさ、

話聞いたら誰か閉じ込められてるって言ってて……』


阿部「そうなんだ。雪ちゃんも一緒なんだけど、

雪ちゃん過呼吸起こしちゃって……」


岩本『え、大丈夫なの？』


阿部「疲れて倒れちゃったけど今は大丈夫」

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