彼らは私に甘過ぎる 【BTS】

◆ ページ39

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でも面倒なことに、逆に俺の願い事をたずねるようになってしまった。
たしかに『言霊』の力が本当なら、口にするだけ良いという理屈になるからだろう。
墓穴を掘ってしまった。



『今年もARMYとAとヒョンたちが、元気いっぱいでありますようにって』

A「私とほぼ一緒だ！ あ、でもARMYの皆さんの健康は祈ってない…もっかい行ってくる！」

『あ、ちょ』



口元を手で覆うと、しまいかけた財布を手に持ち急いで賽銭箱のほうへと走ったA。
嵐のようなはやさで紛れたその姿は、スパイそのものだった。

残された俺は、身長の低いAでもわかりやすいところへ突っ立っておく。
そしてちらちら彼女の姿を確認しながら、先ほどのお願い事を思い出してみる。

Aに言ったお願いは、本当だけど嘘。
あれも本心だけど、それよりももっと根深いところに潜んでる本心の願いを祈った。
それは努力をしてもいつかは千切れてしまう願いだから。
今くらい欲張ったっていいんじゃないかな。



Aとこれからもずっと一緒にいられますように。
そしてずっと俺たちが健康でいられますように。

神様、崇拝なんてしてないけど、俺のお願い叶えてください。




A「グギー！ あ、いた！」

『はやかったね』

A「お金たくさん入れてきたから、ARMYは一生健康でいられますよ」

『えー、俺たちよりお金入れたりしてないよね？』



こうやって軽口を言い合えるのは、今年が最後かもしれない。
来年の保証なんてどこにもないし、強いて言うなら明日の保証だってない。
それはとてつもなく怖いけど、その分今の時間を大切にできる。
寂しいけれど、悪い事ばかりじゃないのだ。




『A、かえろっか』

A「そうだね。オッパたちも心配してるかも」

『俺じゃあるまいし〜〜』




願わくば、この繋がれた手が一生離される事などありえませんように。

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