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お願い ページ7






『………れば…、』




意味もなく口を塞いで、どうしようとあたふたする私の耳に微かに聞こえた玉森くんの声。




「…え、ごめん。聞き取れなかったんだけど…」


『あ、いえ。いいんです、別に』


「え?」


『ではそろそろ失礼します。夜分遅くにいろいろとありがとうございました』


「あ、うん。私で良ければいつでも聞いてくれていいから」


『ありがとうございます』


「じゃあ、また明日」


『はい、失礼します』




プツ、って切れた携帯を枕元に放り投げて、すぐさま目を瞑った。



玉森くん、真面目ね…



目を瞑ると割とすぐに襲ってきた眠気。

そのまま夢の中へと旅立った。




ーーー

ーー






「先輩っ、今日の新歓一緒に行きませんかっ♪」



後ろに手を組んで、体ごとクイッて傾けて。

かわいい女子代表みたいな凛ちゃんが、にこにこと笑顔を見せて私に聞く。



「うん、行こっか。時間あるから一旦家帰るでしょ?」



うちの会社、なにかイベントがあるときはみんな定時で帰らせてもらえるようになってる。

そういう会社の一体感的なシステム、私は好きだな。



「そうですねぇ、少しくらいおめかししようかな…」


「凛ちゃんはそのままでも十分かわいいけどね」


「やぁだ、先輩ったらぁ♪」



うふふ、って人懐っこい笑顔を見せる彼女はやっぱりかわいい。

私もこんな風に女の子らしくできたらなぁ…、なんて。





そして、いつのまにかやって来た定時。

みんなうれしいのか、いそいそと帰る準備をしはじめる。



「じゃあ先輩、私一旦家に帰りますねっ。時間になったら会社の受付前にいますので♪」


「うん、じゃあまた後でね」


「はぁい♪失礼しま〜す!」




凛ちゃんに手を振って、私も帰る準備を始める。




「…あの、先輩」


「ん?どうしたの?」



顔を上げると、鞄を持った玉森くんがいて。

眼鏡の端を上げながら、少し心配そうな表情を見せる。



「あの…、お願いがあるんです」


「お願い?」


「…今日の新歓で、先輩の隣にいさせてくれませんか?」


「え、隣?」


「…僕、人見知りで緊張しちゃうんで。最初は先輩の隣にいたいんです」


「あ、そう。まぁいいけど…」




少しだけ、なんだそりゃ、って思いながらも。

みんなから暗いとか、ウザいとかって言われてるこの子を助けられるのは私だけなんだ、っていう変な使命感が湧いてきて。

普通にOKしちゃってた。



.

意外すぎる→←思い出すのは



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すなぎも - めっちゃ面白いです!!続きがとても気になります!更新待ってます! (2018年7月25日 21時) (レス) id: ef1e270871 (このIDを非表示/違反報告)
はじめ - 続きがとても気になります!更新待ってます! (2018年4月4日 14時) (レス) id: e3f41243e4 (このIDを非表示/違反報告)
kumi(プロフ) - 初めから一気読みしました!めっちゃ面白いですね!!ブラック玉ちゃんカッコイイ!!続きが気になりますっ!!! (2016年7月12日 2時) (レス) id: 8cddf2f951 (このIDを非表示/違反報告)
たまま - このお話のたまちゃんすごい好きです! 続きが気になってしょうがないです! 更新楽しみにしてます! (2016年2月18日 19時) (レス) id: 18ff77bab6 (このIDを非表示/違反報告)
はるる - 頑張って下さい! (2016年2月7日 22時) (レス) id: fb87ff9d5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:K | 作成日時:2015年3月10日 21時

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