立候補 ページ5
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いつもそう。
太輔くんといると、楽っていうか。
居心地いいの。
意地悪だし、ムカつくこと多いけど。
まぁ、だからって好きとかじゃあないんだけど。
親友みたいなものなのかな。
太輔くんとは、仕事のこととかツレの話とか、いつもたわい無い話でも楽しくて。
不思議と話が尽きることない。
太輔くんて意地悪だけど、根は優しい人だから。
さりげない気遣いとか、紳士だなって思うことも多々ある。
…って、本人には到底言えないけど。
「俺んとこの千賀さ、バカっていうか、天然っていうか。仕事出来んのか出来ないのかわかんないんだけど」
「ふふ、なによそれ。天然なのは太輔も同じでしょ」
「俺は天然じゃないよ」
「はいはい。だいたいそうやって否定するのよね、天然な人って」
「だからちげぇってば」
今日もたわいない話で盛り上がって、太輔くんと二人ほろ酔いでタクシーに乗り込む。
いつもはクールにキメてる太輔くんも、こうなったらもうずっと顔は緩みっぱなし。
これもいつものことだけど。
「なぁA〜、お前彼氏はどうなったんだよ〜」
「えぇ、秀のことぉ?もぉあんなやつ知らないわよぉ、別れる別れるっ」
「えっへへ、まぁじ?別れちゃうの〜?」
「だぁって〜、もう一ヶ月も連絡ないんだもぉんん」
「あぁ〜、それないわぁ〜」
付き合って一年の彼、秀。
この春新人教育を任され、仕事が忙しくなった頃から連絡が途切れてしまって。
すでに自然消滅状態。
それこそ最初のうちは、なんでなんだろうって泣いたりしたこともあった。
それでも、私自身頑固で意地っ張りな性格だから。
もう自分から連絡したりもしないし、所詮こんなもんだったんだ、って言い聞かせて。
今ではもう開き直っちゃってる自分がいる。
「はいっ!じゃあ俺立候補してもいいですかっ」
「なにをですか太輔くん」
「Aの彼氏ですっ」
ピッ、て挙げた手に、キリッとさせた顔。
酔ってふざけてるとはいえ、うれしくて。
「んふふっ。ありがと太輔くんっ」
「…あ、じゃあっ…
「太輔くんにでも、言ってもらえるとうれしいものね。でも素面の時には言わないでよぉ?すっごぉぉく痒いからぁっ」
「…」
一瞬。
ほんの一瞬だけ。
太輔くんが、悲しそうな顔をしたような気がしたけど。
「はははっ、あたりまえだろっ」
すぐに元の笑顔を見せた太輔くんを見て、一緒になって笑った。
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すなぎも - めっちゃ面白いです!!続きがとても気になります!更新待ってます! (2018年7月25日 21時) (レス) id: ef1e270871 (このIDを非表示/違反報告)
はじめ - 続きがとても気になります!更新待ってます! (2018年4月4日 14時) (レス) id: e3f41243e4 (このIDを非表示/違反報告)
kumi(プロフ) - 初めから一気読みしました!めっちゃ面白いですね!!ブラック玉ちゃんカッコイイ!!続きが気になりますっ!!! (2016年7月12日 2時) (レス) id: 8cddf2f951 (このIDを非表示/違反報告)
たまま - このお話のたまちゃんすごい好きです! 続きが気になってしょうがないです! 更新楽しみにしてます! (2016年2月18日 19時) (レス) id: 18ff77bab6 (このIDを非表示/違反報告)
はるる - 頑張って下さい! (2016年2月7日 22時) (レス) id: fb87ff9d5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:K | 作成日時:2015年3月10日 21時