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座り込む人影 ページ37

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「あーー終わったぁぁぁーーー……」






椅子の背もたれに盛大に寄りかかりながら背伸びをして。

チラと時計を見れば、時刻はすでに21時を回った所。

週末ともなれば溜まってる仕事を終えなくてはならなくて。

ましてや昨日休んでた分ががっつり残ってる。






「…帰ろ」






とりあえず今日までのノルマが終わりデスクを片付ける。

いつの間にか部屋にはもう自分だけだったみたいで、一応軽く見回りをし電気を消して部屋を出た。






…え?






何気なく進んだエレベーターホール。

そのエレベーターの向かいにあるソファに座り込む人影。






「な、なにを…」






いや、

正しくは






「寝てる…」






近寄って見ればそこには

ソファに座り込んだまま目を閉じて、眠っている様子の玉森裕太。






「…」






これは起こすべきなの?

ていうか何してんのこの人……






玉森裕太がなんでこんな所で寝てるのかわかんないし

別に無視して帰っちゃってもいいと思う。




だけどーーー…






「……ねぇ、」






そんなことできなくて






「…ちょっと、起きて」






何度も帰ろうと一歩踏み出したけど






「ねぇ、玉森くん」






なぜか

放っておくことはできなかったの。






「……ん、…」


「玉森くん、こんな所で寝ちゃだめでしょ」


「……あ、せんぱい…」


「…っ、」






怪訝そうに目を開けた彼は、顔を上げて私を見つけると眼鏡を外し…

クシャクシャと前髪を無造作に掻き上げて、大きく伸びをした。






「今日も遅かったんすね」


「え、あ、うん…まぁ…」


「お疲れ様です」


「あ、ありがと……」






なんだこいつ。

調子狂う……






「…で、何してたの?」


「んー、待ってました」


「誰を?」


「先輩に決まってるじゃないですか」


「え、私?仕事のことだったらもっと早く…


「一緒に帰ろうと思って」


「……へ?」






スッと立ち上がった玉森くんは、そのまま眼鏡を鞄の中にしまい込んで。

髪をガシガシと掻きあげながら近付いてくる。






「デートしませんか」






……は?






「あー、先輩待ってたらお腹空いちゃったなー」


「…そ、それは…、あなたが勝手に…


「お腹空いたーお腹空いたー」


「…っ、、、」




.

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すなぎも - めっちゃ面白いです!!続きがとても気になります!更新待ってます! (2018年7月25日 21時) (レス) id: ef1e270871 (このIDを非表示/違反報告)
はじめ - 続きがとても気になります!更新待ってます! (2018年4月4日 14時) (レス) id: e3f41243e4 (このIDを非表示/違反報告)
kumi(プロフ) - 初めから一気読みしました!めっちゃ面白いですね!!ブラック玉ちゃんカッコイイ!!続きが気になりますっ!!! (2016年7月12日 2時) (レス) id: 8cddf2f951 (このIDを非表示/違反報告)
たまま - このお話のたまちゃんすごい好きです! 続きが気になってしょうがないです! 更新楽しみにしてます! (2016年2月18日 19時) (レス) id: 18ff77bab6 (このIDを非表示/違反報告)
はるる - 頑張って下さい! (2016年2月7日 22時) (レス) id: fb87ff9d5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:K | 作成日時:2015年3月10日 21時

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