とりあえず、生 ページ4
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ククッて肩で笑う同僚へ、あからさまにムッとした顔を見せて。
マグのコーヒーを一気に飲み干す。
パソコンの電源落として、デスクに散らばった書類サッと整頓して。
「晩酌しなきゃなんで、オヤジは帰りますから。コーヒーありがと、お疲れさま」
バッグ持って、勢い良く立ち上がる。
「怒ってんの?ごめんって、…フフ」
謝ってる割に笑ってる同僚をジロ、って睨みつける。
…口元隠してるけど、隠し切れてないですから。
「おっけ、じゃあご飯でも行こ」
「…」
「わかってるって、奢らせていただきます」
「…よろしい」
給湯室でマグ洗って(正しくは洗わせて)、二人で部署を出ようと歩き出す。
「…先輩、お疲れさまです」
電気も付いてない場所から聞こえた小さな声と、ゆらりと揺れる人影。
「…っびっ…くりしたぁ…!玉森くん、いたの?残業?」
「まぁ…、まとめておきたいデータがあって」
「そうなの、熱心ね」
「…いえ」
パソコンに視線を戻した彼に、程々にね、って声をかけて。
お疲れさま、と手を振った。
「あいつ、仕事は出来んのにな」
エレベーターの扉の前で太輔くんが呟く。
チー…ン、と開いたエレベーターに乗り込んで、1Fのボタンを押す。
「玉森くんのこと?」
「そ。仕事出来んのに、あんだけ暗くちゃさ。背も高いしスラッとしてんのに」
「まぁ…ね、」
確かに長身だけど。
ちょっとナヨナヨしてるイメージはある。
「おぅ、いらっしゃいお二人さん」
すでに顔馴染みの居酒屋さん。
同期ってこともあって、太輔くんとは入社したての時からよく二人で飲みに来てて。
なぜか二人で一括りにされちゃってる。
「とりあえず生、だろ?」
「そうね」
いつものようにお互い小さく乾杯して。
お疲れ、ってグラスを口を付ける。
「そういえばさ、A出るよな?今度の新歓」
「出ますとも、教育係ですからね」
「だよな、俺も」
「男はいいじゃない、ただ飲んで騒ぐだけだから。女は上の接待に下への配慮気遣い…、もう考えただけで疲れちゃう…」
はぁ、って思わずテーブルに突っ伏す。
「お疲れさん」
太輔くんの労いの声が聞こえて、私の頭にそっと掌が触れる。
「…子供扱いしないで」
「え?どう考えたって子供じゃないだろ」
「…」
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すなぎも - めっちゃ面白いです!!続きがとても気になります!更新待ってます! (2018年7月25日 21時) (レス) id: ef1e270871 (このIDを非表示/違反報告)
はじめ - 続きがとても気になります!更新待ってます! (2018年4月4日 14時) (レス) id: e3f41243e4 (このIDを非表示/違反報告)
kumi(プロフ) - 初めから一気読みしました!めっちゃ面白いですね!!ブラック玉ちゃんカッコイイ!!続きが気になりますっ!!! (2016年7月12日 2時) (レス) id: 8cddf2f951 (このIDを非表示/違反報告)
たまま - このお話のたまちゃんすごい好きです! 続きが気になってしょうがないです! 更新楽しみにしてます! (2016年2月18日 19時) (レス) id: 18ff77bab6 (このIDを非表示/違反報告)
はるる - 頑張って下さい! (2016年2月7日 22時) (レス) id: fb87ff9d5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:K | 作成日時:2015年3月10日 21時