平常心 ページ20
.
「っふぅーー…」
…今日も残業かぁ。
とりあえず自分のデスクに戻って、自分のノルマを終わらせるべくキーボードを叩く。
でも、この仕事を終わらせてからのやるべきことがもうすでに分かっているから。
……だるい。
だるすぎる。
「お疲れ」
定時になって、にこにこと私に寄ってくる太輔くん。
きっと今日は残業無しなんだろう。
その表情から見て取れる。
「なに?今日も残業?」
「そうですけど」
「なんだよ、出来なかったのか?それとも得意の自主残業?」
「…まぁ、ちょっとね」
「手伝おうか?」
「ううん、今日は新人教育の残業だから。ありがと」
「マジ?誰かやらかした?」
「そうじゃないの。ちょっと復習をね」
そう言って玉森くんの方に目線を移す。
その目線を辿った太輔くんが驚いたような表情を見せる。
「…玉森って仕事できるだろ?」
「んー、そうなんだけど」
「…」
「……なによ」
「…いや、別に」
少しだけ難しい顔をした太輔くんが、頑張れよ、って頭にポンて触れて。
社内に残っている人数もまばらに。
「…よしっ、行くか」
椅子から勢い良く立ち上がって、玉森くんのデスクに向かう。
彼は相変わらず真面目にパソコンの画面わ見つめていた。
「…玉森くんっ、さっきの書類のことだけどっ、」
彼の後頭部に向かって早口で喋りかけるけど、自分の心臓がどきどき言ってるのが聞こえる。
ゆっくりと後ろを振り向いた彼は、私の顔を2秒程見つめて周りを見渡した。
「…やっとこの時間が来ましたね、先輩♪」
そう言って眼鏡を外した彼は怪しげな笑みを浮かべて。
前髪を掻き上げる彼の仕草に、一瞬ドキッとした自分を心底羨みながらなんとか平常心を保った。
「…はやく終わらせるからね」
言いながら、彼の隣の席に腰掛ける。
「確か…ここだったわよね?」
「…」
「…玉森くん?」
「…はい」
「ここはね、こっちを使った方がわかりやすいから、まずはこの表現でこれを打ち込んでもらって…」
…とにかくはやく終わらせよう。
そしてすぐに帰ろう。
それだけを考えながら早口で一気に説明した。
.
2234人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すなぎも - めっちゃ面白いです!!続きがとても気になります!更新待ってます! (2018年7月25日 21時) (レス) id: ef1e270871 (このIDを非表示/違反報告)
はじめ - 続きがとても気になります!更新待ってます! (2018年4月4日 14時) (レス) id: e3f41243e4 (このIDを非表示/違反報告)
kumi(プロフ) - 初めから一気読みしました!めっちゃ面白いですね!!ブラック玉ちゃんカッコイイ!!続きが気になりますっ!!! (2016年7月12日 2時) (レス) id: 8cddf2f951 (このIDを非表示/違反報告)
たまま - このお話のたまちゃんすごい好きです! 続きが気になってしょうがないです! 更新楽しみにしてます! (2016年2月18日 19時) (レス) id: 18ff77bab6 (このIDを非表示/違反報告)
はるる - 頑張って下さい! (2016年2月7日 22時) (レス) id: fb87ff9d5e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:K | 作成日時:2015年3月10日 21時