教育係の出番 ページ19
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「っはぁーーー…」
あの後、出来るだけはやくご飯を食べ終え一人素早く女子トイレへと逃げ込んだ。
鏡の前で軽く化粧を直しながら溜息をつく。
どういうつもりよ。
玉森裕太…
ふいにあの日のブラックな玉森くんが頭の中を支配する。
あーもうっ!
やめやめやめーーー!!!
首をぶんぶん振って頭の中のブラック玉森を掻き消しながら、化粧ポーチをもって女子トイレを出る。
部署の入り口で、主任のデスクの前で頭を下げる玉森くんの後ろ姿を見つけて。
会社ではこんっっなにダサい彼なのに、その彼がまさかあんな風に変わるなんて…
誰も思わないだろうなぁーーー…
なんてことを思いながら、ぼーっとその姿を眺めてた。
「…っあ、」
ふいに振り返った玉森くんとバチっと目が合って。
ビク、って心臓が飛び跳ねた。
すぐに視線逸らして急いで自分のデスクへ向かって座り込む。
チラ、っと様子を伺うようにそちらを見れば、彼は自分のデスクでパソコンの画面を見つめキーボードを鳴らしていた。
「…」
…なんか、私だけ焦ってバカみたいじゃない。
そもそもなんで私があんなのに振り回されてんの。
そうよ、絶対おかしい。
急に湧き出てきた彼へのイラつきに、拳を握りパソコンの画面を穴が空く程見つめていた時。
視界の脇で、再び安藤主任の元へ向かう玉森裕太が映る。
「佐藤、ちょっといいか」
「っへ!?…あ、はいっ!」
視線の先の安藤主任に名前を呼ばれ、よくわからない声が出てしまった。
「なんでしょうか」
「うん、ちょっと玉森の件でな」
「…玉森が何か?」
「まぁ、ちょっとこの書類にミスがあってな。自分でわかるように見直させたんだが、どうもわからないらしくてなー…、」
顎を摩りながら手にした書類を見つめる安藤主任。
「うん。教育係の出番だね」
「はい…」
よろしく、って書類を手渡されて。
隣の玉森くんを見ると、眼鏡をずり上げながら小さく会釈してる。
…はぁ。
玉森くんのデスクに戻って、ざっと書類に目を通して。
「…とりあえず、今日は残業ね」
「…はい、すいません」
絶対そんな風に思ってないくせに。
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すなぎも - めっちゃ面白いです!!続きがとても気になります!更新待ってます! (2018年7月25日 21時) (レス) id: ef1e270871 (このIDを非表示/違反報告)
はじめ - 続きがとても気になります!更新待ってます! (2018年4月4日 14時) (レス) id: e3f41243e4 (このIDを非表示/違反報告)
kumi(プロフ) - 初めから一気読みしました!めっちゃ面白いですね!!ブラック玉ちゃんカッコイイ!!続きが気になりますっ!!! (2016年7月12日 2時) (レス) id: 8cddf2f951 (このIDを非表示/違反報告)
たまま - このお話のたまちゃんすごい好きです! 続きが気になってしょうがないです! 更新楽しみにしてます! (2016年2月18日 19時) (レス) id: 18ff77bab6 (このIDを非表示/違反報告)
はるる - 頑張って下さい! (2016年2月7日 22時) (レス) id: fb87ff9d5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:K | 作成日時:2015年3月10日 21時