セドナの魔法4 ページ9
「ねぇ…ねぇ、ねぇってば!」
荷物の重さに腕が抜けそうになりながら、メグは声を振り絞って言った。
「はい?」
メグの前を歩くアンナは立ち止まり、振り返って少し不機嫌そうに応答した。
「私をどうする気なの?
なんなのよあなたたちは?
はやく私をお父様のところに返してちょうだい!」
メグは重い荷物をドスッと落とした。
「それはできません。
うちの上司は本気ですから。
質問があるならあれに乗ってから聞きます。」
そう言ってアンナは窓の外を指差した。
アンナの人差し指の先には、大きな楕円形の空飛ぶ乗り物、飛行船、それもとびきり大きいのが雲ひとつない青空に浮かんでいた。
メグはこれほどまでに大きいものは初めて見たので、あっけにとられているうちに手早くそれに乗せられてしまった。
はっと我に返ったときには、真っ青な空を映す小窓と上等そうな椅子が列になっていくつも並ぶ広い空間にいた。
そこにはメグの他に、サリーとレイゲン、それから熊のように大柄な男、それよりかは小さくどこかで見たことがあるような青年がいた。
メグは、前から2列目の1番左端の席に座らされた。
「すっごい…」
メグは両手で小窓を触った。
「うわ、ガラスだ…」
そして、前と後ろの席の小窓も触った。
「この窓全部ガラスなのかな…一体いくら使って造ったのかしら。」
呆れたように呟くと、隣の席にレイゲンが座った。
「そんなに珍しい?この飛行船。」
「ええ。
ここまで大きいのは初めて見るし、こんな上等なガラスだって滅多にお目にかかれない代物だもの。それを窓に使うなんて、もったいないわ。
私だったら絶対、綺麗なガラス細工を職人に作らせるのに。」
「あはは、じゃあ俺たち結構損してんねぇ。
だって、この飛行船をバストラで売ったら大儲けじゃないか。」
「そうね。我が国の将軍クラスの殿方なら、いくら出すかしら。
この飛行船、一体何人乗れるの?見たところ、ただの豪華客船ではないようだけど。」
「ああ、客船ではないな。
戦乱の時代では、こいつには人じゃなくて巨大な爆弾が乗ってたらしいぜ。」
「爆弾!?ていうことは、この飛行船は空襲のために使われていたってこと?
そんなのがまだ残ってたなんて…すごいわ!」
メグは少し楽しくなってしまい、目を輝かせながらレイゲンを見たが、レイゲンの目は笑っていなかった。
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ばん© - ありがとうございます!更新遅くてすみません… (2017年3月6日 18時) (レス) id: 811eeda3cd (このIDを非表示/違反報告)
つー - すごく面白かったです!! (2017年3月5日 21時) (レス) id: 145d47b14f (このIDを非表示/違反報告)
とまと?(プロフ) - これからも応援してます! (2017年2月23日 21時) (レス) id: 815ca9583d (このIDを非表示/違反報告)
ばん© - みなぎさん» ありがとうございます!!!! (2017年2月23日 21時) (レス) id: 811eeda3cd (このIDを非表示/違反報告)
ばん© - 篠川梨麻さん» 読者さま第1号ですよ!すごくうれしいです、ありがとうございます! (2017年2月23日 21時) (レス) id: 811eeda3cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月嶋あぐり | 作成日時:2017年2月22日 17時