嘘だと言ってくれ【YG】2

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帰るとAは俺をソファに座れと諭して

キッチンに向かった


俺は大人しくテレビをつけてくつろいだ


だってそういう約束だし




少し経つと味噌の匂い

懐かしくて、落ち着くような匂い


Aもよく自分で作った味噌汁を飲んで

母さんの味だという


日本では家庭によって味噌汁の味が変わって

それぞれの味が自分らにとっての母の味と言うらしい


となれば、俺の母の味は

Aの味であり、Aの母さんの味ということになる



なんかいいな、それ



一人で口の端を上げて、変な奴だな俺



A「飯できた」


「ん」



立ち上がってダイニングテーブルへ

座って食卓をAと囲む


A「いただきます」


「いただきます」


納豆を掻き回してご飯に乗せて

それを頬張って味噌汁を流し込む


じわっと広がる温かさと日本の味


Aの味



A「美味い？」


「うまい」


A「良かった」


口の端を上げて、目を細めて

嬉しそうに飯を食うA



それを見て俺も嬉しくなるのは何故だろうか







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