ユンギさんの飼育方法２

14 ページ14

私は


初めてかもしれない…


こんなに他人に甘えられたのは








物心ついたときから


集団のなかにいて


皆が同じように扱われ


そこでは特別扱いは許されない


いつからか心が荒んで


弱者を見下すような冷たい視線にも慣れ


息苦しい毎日のなか


なんとか生き延びてきた


それでも上手い子は大人に取り入り


おなじ境遇の子たちも次々と外の世界へと旅立つ


私はただ一人取り残され、負け犬と烙印を押された






施設育ち





孤児








外の世界から汚い言葉で毎日のように罵られ


居場所がなかった私は


ただ、息をするだけ


そんなふうにして生きてきた


ずっと一人で生きてきた








そんな世界から抜け出したくて


１５になったある日


私は自ら全てを捨てた


行くあてもなく


ただただ


歩き続けた


そんなときに出会ったんだ…あの人に






あなたは、今


どこにいますか？








私は、今


ここにいます







あなたが愛した人の隣に


あなたが愛した人の腕の中にいます







これはやはり罪なのでしょうか…？








ズキズキと突き刺さる罪悪感のなかにも


ドクッ、ドクッ、と耳元に振れる鼓動で満たされるこの気持ちは








私には許されないものなのでしょうか…？

15→←13

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す