【◇】君が名付けた場所 (ページ26)

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26章：半分ページ26

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蔵沢「御幸と自転車って‥絶妙な違和感」

御幸「俺もこっち来て初めて乗ったわ」

蔵沢「じゃあ行きますか」

倒したチャリも全部立て直し、やっとのことで学校を出発。

夕焼けが照らす赤く染まった道を、蔵沢と並走しながら目的地を目指す。

蔵沢「‥いいよね、こーゆーの」

御幸「何が？」

蔵沢「みんなで準備したり、放課後に学校抜け出したり‥何かワクワクしない？」

ちょうど信号が赤に変わり、俺の方を見ながら尋ねてきた蔵沢の顔が、夕日のせいか少し赤く見えて‥

でもたぶん、それは俺も同じな訳で‥

「だな」と返事を返しながらも、ワクワクよりドキドキとうるさい心臓が、身体の中で波打っていた。

御幸「これで全部か？」

蔵沢「‥御幸が一緒に来てくれて正解だったかも‥」

御幸「俺こっち運ぶから、蔵沢はそっちの小さい箱な」

蔵沢「感謝します‥」

御幸「一応女子だしな」

蔵沢「だーかーらー！！」

御幸「はっはっは、ほら早くしろよ」

実際に衣装を取りに来ると、大小に分けられた段ボールが2箱。

1人ではキツかったであろう荷物を、お互いのチャリの荷台に乗せ、来た道を再びひた走る。

蔵沢「ねぇ御幸‥ノド渇いてない？」

御幸「別に渇いてねーけど」

蔵沢「か・わ・い・て・な・い？」

御幸「‥分かったよ‥」

半ば強制的に立ち寄ったコンビニで、ジュースを片手にレジに並ぶ蔵沢が、眉間にシワを寄せて悩み始める。

御幸「どーしたんだよ？」

蔵沢「‥肉まんかピザまん、どっちにしようかなって‥」

どれだけ肉まん好きなんだよ‥と思いながら、それでも真剣に悩む姿が可愛くて、口元を緩ませながら声をかける。

御幸「俺、ピザまん買うわ」

蔵沢「へ？御幸も食べたかったの？」

御幸「蔵沢が肉まん買って半分こしたら、両方とも食べれんだろ？」

蔵沢「御幸‥神だよ神！神々しく見える！」

御幸「ピザまんひとつで神か‥」

蔵沢「でもさ『半分こ』って、御幸も可愛いこと言うね」

御幸「はい、ピザまんなし」

蔵沢「わー！ゴメンなさいゴメンなさい！！」

レジ前で一騒動終えた後、店前に設置されてるベンチに並んで座り、袋の中から品物を取り出す。

蔵沢「はい御幸、半分こ♫」

御幸「‥そのフレーズ気に入ってんの？」

左右で味の違う中華まんを、隣で美味しそうに食べる蔵沢は、幸せを絵に描いた様な表情で‥

この時間が少しでも長く続けば‥と、いつもより時間をかけて食べ切った。

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