【小説】前世を生かせ___九十九高等学校！ (ページ20)

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【第十九話】「残った物」鈴水麗ページ20

「私は篠宮梨々実と申します。前世はブリタニア帝国の皇族でした。好きなものは折り紙と歌です。よろしくお願い致します」

梨々実がふわりと微笑むと周りが拍手をする
梨々ちゃんの笑顔はほんとに可愛くていいなー

私の自己紹介はまだちょっと先なの
り、だから遅いのは当然よね

鈴。なんて前世と変わらない名前だし、名前全体的に似ているのよね

ま、別にいいの。歌があれば

私に残ったものと言えば歌
前世でもそう、最後には歌が残った

今も生まれ変わって、残っていたものは歌だった。歌を使う能力が残った

前世で私の後輩とか言われた歴代歌姫達が持っていそうな能力だなーとか思ったけど…

やっぱり、何よりも歌が好きなんだ。と実感したし、本当にその気持ちは変わらないもの

でも、今は前世と違って青春！って感じのものをしているし、なんでもやりたいって思う

やっぱり平和だからよね

「次、鈴さん」

先生が私の名前を呼ぶと視線が集まる

この感じは慣れっこよ

「私、鈴水麗。前世は伝説の歌姫と呼ばれたアイドル、リン･ミンメイです。好きなものは歌や演劇に笑顔です。よろしくお願いします」

透き通るような声と優しい無邪気そうな笑が広がる

実は声って昔のまんまなのよね

パチパチ…と拍手が終わり、自己紹介は私で最後
つまり、この時間は終わったの

疲れたーとベランダに行けば青い空に、日差しが暖かくて、風が気持ちいい

隣では梨々実が暖かそうにしている

こんな時は歌いたい

「ちょっとだけ」

ゆっくりと息を吸って

楽しいという気持ちを込めて唇を動かす

かつて私が歌った歌を

聞こえても気にしないというように、歌い出す